約 2,472,044 件
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/665.html
「ちょっと違った未来34」 ※原作IF 京介×桐乃 「「「「「御結婚おめでとうございま~す!!!!」」」」」」 「きゃあ~~!!」 「はは!!」 俺達は今結婚式場にいる。今日は俺と桐乃の結婚式。俺は白のタキシードに、そして桐乃は純白のウエディングドレスの姿で俺を含む人々を魅了していた。 ウエディングドレスの衣装を着たこいつを見た時…魂が口から抜けるかと思ったぜ。そこにおわしまするはどこの天女かあるいは女神か。傍に居たお袋と親父に顔をぱちぱち叩かれるまで現に意識が飛んでいたんだもんよ。 そして。 「桐乃~!!本当に、本当におめでとう!!」 「あやせ…ありがとう」 「夫に不満はあるけどお嫁さんが最高だから最高に輝いてるよ!」 「はは…」 おい!いい加減にしろよ!この女!…でも天使。 「ったく桐乃に先に越されるなんてヨ」 「加奈子…ありがとう」 「ま、加奈子もすぐに京介以上の男を見つけてやるしィ~」 「あら?京介さんに『似た』男性の方ではなくて?」 「よ、よけいなこと言うなデカ女!」 「あらあら…うふふ…。わたくしに対してよくもそのような言葉遣いが…」 「ひい!」 一気にフリーザ様と化した沙織に上から軽く持ち上げられる加奈子。 「桐乃ちゃん…まさか高坂先輩と結ばれるなんて…。とりあえずおめでとうございます…」 「え、え~と。せ、瀬菜ちー?」 「こ、高坂先輩は、ぜ、絶対にお兄ちゃんとくっつくものだと…!」 「もしもーし?」 「こ、高坂先輩の伝説の超戦士属性が…。受けがぁ…」 「あの~瀬菜ちー…身内婚でもあんまり暴走されると…」 あ、あのアマーー!?何が伝説の受けの超戦士だ?!頭に栄養がいかないから乳ばっか大きくなってんじゃねえのか?!一回マジで犯したろかい!! それに見ろ、麻奈実の隣にいる赤城が複雑そうな顔で「瀬菜ちゃん可愛いよー。瀬菜ちゃんは悪くないよー」とか高校の頃から変わらない呪文(ホイミ)を唱えてるじゃねーか! そして…。 「桐乃ちゃん…今日は本当におめでとう」 「麻奈実さん…」 「色々あったね…」 「うん…」 「これからも色々あると思う。けれど桐乃ちゃんときょうちゃんのことだからどんな壁も乗り越えられるから」 「うん…」 じわ。 長年の宿敵だった麻奈実に祝福され、万感の思いなのか。堪えきれず涙が溢れ出す桐乃。 化粧の上を綺麗な形で流れていくその涙は、夫じゃない身が見ても美しいと思うはずだ。 「これからも…二人仲良くね…」 「ありがとう。ありがとう、まなちゃん…」 泣く桐乃の頭を優しく胸元で抱きしめる麻奈実。見れば眼鏡のその奥の瞳には涙が溜まっていた。 その他大勢の人達が今日この結婚式に来てくれている。 あやせに瑠璃、沙織に加奈子に瀬菜、そして桐乃の友達。赤城に御鏡にゲー研の部長に真壁に日向ちゃんに珠希ちゃん。そして俺達三人の幼馴染である麻奈実。 麻奈実に来てもらえたのは一番嬉しかった。何しろ一番俺達のことを祝ってもらいたかったからだ。麻奈実の結婚式の出席の確認が取れたことを知ったときの桐乃は本当に嬉しそうだった。だっていきなり泣き出すんだもんよ。 …。 俺はあの後階段に落ちたもう一人の黒髪の妹、桐乃を助け出した。が、目覚めた後階段から落ちたにも関わらず後遺症どころかキズ一つ二人の身体になかった。 この事を知った沙織と寝ていた瑠璃は安堵のあまり大泣きしてくれた。 それからしばらくして俺は警察に就職する前に桐乃と結婚をした。俺は卒業する直前であり、桐乃は1回生。巷で言う学生結婚というやつだ。 就職してからだと上司の席次や何やらが煩わしいという親父とお袋の意見からだ。(おそらく自分達の経験からの忠告だったと思う) そんな親父達も今俺達を祝福してくれている。お袋はともかくあの親父の極道面が…。何だよあの顔、ピカソみたいになってるじゃねえか。 他方で、これから俺は千葉県警に勤めるために警察学校に入らなければならない。そしてすぐに卒業する俺と違って桐乃はまだ大学生だ。しかも現役モデルでもある。人気モデルが結婚するなんて話になってみろ、事務所と色々揉める事になる(現に揉めた)。その事を考えると精神的な余裕や金銭的なことも踏まえて後にしようかとも考えたが桐乃がどうしても今すぐしたい!と言ったので今現在に至ったわけである。 …人間何時何処でどうなるのかわからねーもんな。 その事は俺と桐乃はあの不思議な世界の事から痛いほど理解していた。 「…」 あれから桐乃の身に何事もなかった。かつての記憶を取り戻し、記憶を失っていた時の自分の記憶も保持し、この日常へと舞い戻ってきた。 …もう彼女は居ない。俺達の前からその姿を消してしまった。 この事を瑠璃や沙織、あやせや麻奈実に俺達は話した。不思議な不思議なあの世界での出来事。俺ではない俺。桐乃ではない桐乃。少しボタンが掛け違えれば俺達が辿ったであろう、ちょっと違った未来。 瑠璃も沙織もあやせも麻奈実も何も言わなかった。何も言わずにただ黙って聞いてくれていた。その中でも瑠璃だけは目に大粒の涙をためてくれていた。それは彼女にとってもあの黒髪の美少女はもう一人の親友であり『妹』だったからなのだろう。 「…」 あの後、瑠璃達に不当労働行為をさせている会社相手に労働基準監督署が行政指導に踏み込んだ。 あの瑠璃の見舞いに来た立花さんはああ見えてやることはきっちりしていたというか、会社の内部証拠の収集に激務をしながら奔走していたらしい。 それが決め手となって、此度役所による立ち入り検査が発動。 そしたら出るわ出るわ不正行為のオンパレード。 それも労基法上の問題だけじゃない。刑法上の、いわゆる背任、業務上横領etcetc… それと同時に沙織の家の顧問弁護士が数人踏み込んで今現在民事上の和解作業に入っている。和解といってもお互いに譲歩し合うような一般的なイメージでは決してなく、老獪な弁護士達によって証拠資料を片手にガンガン追い立てられているような状況だ。 法律のプロの数人がかりのチームワークに悪徳経営陣はたじたじで「この事は検察に直接告訴する」といったら顔が真っ青だったらしい。お疲れさん。 それを聞いて俺と沙織が親指を立てあったのは言うまでもない。 「…」 桐乃は楽しそうに来てくれた皆と雑談に興じている。そんな彼女を遠巻きに祝福していた瑠璃が、 「ふふ」 今日の瑠璃は黒の露出が控えめなドレスを着ていた。花嫁を立てるためだろう。桐乃はまごうことなき女神だが、こいつもこいつで神女のようなやつだ。ちょっと着飾ればたちまちの内に花嫁に勝るとも劣らない美女に変身するに決まっているからだ。こいつはそんなこと考えてはいないだろうけれど、主催者を立てる、というのは気遣いのプロであるこいつらしかった。 「本日はおめでとうございます。先輩」 「おう。ありがとうな、瑠璃」 二人して向かい合う。彼女は綺麗な瞳をしていた。一寸の迷いなくかつての自分の彼氏と親友の門出を祝う瞳を。そして…。 「…こうして見ると本当に綺麗ね。あの子」 「…ああ」 文字通り世界の中心と成っている桐乃。老若男女問わずどんな者をも魅了するあの笑顔。…あんな綺麗なお嫁さんがもらえて、全く俺は世界一の幸せ者だぜ。 「ふふ。あの子のあんな姿を見てると…。私もどうしようかしらね」 「?なんだよ?急に?」 「いえ、これから自らの身の振り方のことを考えるとどうしようかな、って。それに羨ましいしね、あの子が。やっぱり私も女の子、ということかしらね」 「?」 そう言うや否や瑠璃はこちらに体を顔ごと翻し、 「あ~あ。私もそろそろ彼氏でも作ろうかしらね~?」 ぴく。 俺の顔にその綺麗な顔を近づけ、そうにんまりとした笑顔で俺の耳元で囁いた。 「最近道を歩いていてもよく男性に声を掛けられるのよね。私服と仕事着の時だけなのだけれど。この前なんて高校生くらいの子にラブレターなんて物も貰ったわ。顔を真っ赤にしてプルプル震えて可愛かったわね。…女ってね、こういう古風な手に弱いのよ。それに自分でも母性本能が強い方だと自覚しているし…」 「…」 「あの子ってこの前駅前の本屋で遠くから見かけた時私達の高校の制服を着ていたわ。ということは…ふふ。転校したとはいえ私の後輩ということになるのかしらね」 「…」 瑠璃に彼氏、か…。 …。(想像中) …。 いかん…想像しただけで腹が立って仕方がない。こいつの右隣に一緒にいてそれに寄り添うように男の腕に幸せそうな顔で顔を埋めている瑠璃。 …チッ。 「あの、先輩?」 「…」 イライライライライラ…。い、いかん…。こんなこといけませんよ瑠璃さん…。貴女の兄さんは許しません。瑠璃に彼氏?…まともに考えたらストレスで胃がどうにかなりそうだ!頭もおかしくなりそうだ! そんな俺を見て、この勘の鋭い瑠璃が俺の心情を見抜けない筈もなく…。 「はあ…」 瑠璃が俺の顔の前で呆れた顔で一つため息。 「その顔…知ってる。…男の嫉妬の顔よ、先輩」 「…うっせえ」 「貴方ねえ…。せっかく今日この日をもって最愛のあの子と結婚出来たのよ?ようやく妻帯者になれたんじゃない。それなのに昔の彼女の、それも居もしない男の影に嫉妬するってどういうことなのかしら?」 「…そんなんじゃねえよ」 自分で言ってて空しくなる。 何がそんなんじゃねえ、のか。あ~あ。俺の男の器も高校時代から少しも変わっちゃいねえな。 確かあの頃も赤城に麻奈実に彼氏が出来たらどうする?みたいな事を聞かれたな。それに対する返事はそんな事許さんし全力で妨害する、だった。 今、麻奈実と赤城は悪くない関係にまで発展している。普通もうちょっとばかり進んでもいいものだがゆっくりとした麻奈実のペースと満更でもなくそれに合わせる赤城。かつての俺ならこいつらの関係に大いに邪魔をしていたかもしれない。しかし今はしない。というより出来ない、といった方が正しいな。 だって俺には桐乃がいるんだもの。どこの世界に最愛の女がいるのに他人の恋愛に対して口を挟めるの?って言い返されたら終わりだ。…ごほん。 まあそれとは別に俺は何だかんだ赤城のことを認めている。あいつはやる時はやる男だし、守るものは何に代えても守ろうとする。しかも俺と違って普段からかなり積極的にだ。それは瀬菜に対するシスコンっぷりを見ていてもわかる。ただのイケメンでは決してないのだ。 …ん?だったらその理屈でいえば俺は瑠璃の将来の夫婦(めおと)になるであろう男を条件さえ整えば認めなければならないという事になるじゃないか!…そんなこと…。 「…」イライライラ 「…ふふ」 くっそ~!こいつに彼氏?は、腸が煮えくりかえるわ!そんなもん!だいたい何処のどいつだ!言ってみろ!前言撤回だ!麻奈実は赤城でぎりぎりよくてもこいつは駄目だ!誰が来ようと何処の財閥のお坊ちゃんが来ようと全力でぶん殴ってやる! そんなストレスマッハな俺に対して瑠璃は、 「ちょ、ちょっと先輩?」 「…なんだよ?」 「か、顔が犯罪者みたいになっているのだけれど…」 「…重要案件を思案中なんだ。邪魔しないでくれ」 「…全く」 ふうっ、と一つため息をつくと瑠璃は、 「…嘘よ」 「え?」 瑠璃は赤面しながら、 「だから!…嘘。た、確かによく声も掛けられるし番号も聞かれるわ。ラブレターの男の子の事も本当よ。で、でもね、別に私には男を作る気なんて今のところ更々ないのだから」 「…」 …『今のところ』? 「だ、だから先輩、そんなに大真面目に考えなくて結構よ」 「…はあ~」 赤面しながらもじもじとしている瑠璃を横目に俺は胸から大きく息を出した。さっきの瑠璃の発言によって一気に溜め込まれた負のオーラ(?)が放出される。 まだ納得はしていないけどな! 「それに私にはやらなければならないことが沢山あるの。まだまだお仕事もあるしね。人間の雄になど構っている余裕などどこにもないわ」 「…さよか」 出たよ黒猫さんお得意の邪気眼様が。 「でも…」 瑠璃はどこか切なそうな顔で、 「先輩。貴方昔あの子に『彼氏が出来てキスまですませた~』って言われて祝賀会が無茶苦茶になった狂言事件があったじゃない」 「…ああ」 ほんとあの時は大変だったぜ。こいつは部屋から飛び出すわ桐乃は嫉妬心むき出しするわ沙織にサークルクラッシャー男呼ばわりされるわ、挙句の果てにお袋に桐乃との関係を疑われるわで。ついでに御鏡が持ってきたケーキを顔面に投げられるわ。 …御鏡もホント器がデカイよな。普通あの状況であんなに平然としてられねーだろ。それを考えたらあの時御鏡にも桐乃の彼氏たりうる条件があったってことなんだよな。こんないい男いねーもん。…いやだめだ。桐乃は絶対何があっても永久に何処の誰にも渡さん。 桐乃は俺のもんだ。桐乃は俺だけのもんなんだ。桐乃が誰か他の男の物になる?新妻桐乃の裸エプロン?知らない男に朝のエッチな御奉仕?夜になると知らない男の腕の中でひいひいよがり泣かされる?こ、今度こそ気が触れるわ!! イライライラ!!メラメラメラ!! 「先輩?もしも~し・」 「は??!!あ、ああ」 いかんいかん。また自分の世界に。 「…ふう。まあいいわ。で、話を戻すけれど…あの子の彼氏騒動の時のあの子の『男』に対して、貴方、今の私に対する顔と同じ顔をしていたわ」 「…だったらなんだよ」 「…参ったわね。これは喜ぶべきなのかしら悲しむべきなのかしら」 瑠璃は再び何ともいえないような、しかしどこか切なそうな顔で、 「私の『男』に対する先輩のその心は、妹の『男』に対するものと同じもの…と考えてもいいのかしら?」 「…」 「だとすると私は貴方の大切な妹と同じ評価が先輩の中で与えられていることになる。ふふ、光栄だわ。大好きな先輩の心の中の領域をそれ程までに占領出来たのですもの」 「…当たり前だろ何言ってんだ。だってあの頃の俺はお前の事を本気で…」 「けれど先輩の中では私は妹と同じではあるけれど、『女』足り得なかった…という理解が出来るのだけれど、それで構わないのかしら?」 「…それは今のおまえに対して、だろ。あの頃のお前に対してじゃない。それに今俺には桐乃がいるんだ。そんな俺がお前の男に対してまで口を挟めるかよ。悔しいけどな」 「…まあ、ね」 優しく照らす太陽。俺達の頭上に柔らかく光を降り注ぎ祝福してくれている。 「…」 時は過ぎていく。あの頃永遠に変わらないと思っていた気持ちも時の移ろいと共に変化していく。それは例え高校生だったあの頃黒猫という一人の毒舌で邪気眼真っ盛りで、そして誰よりも本当は優しくて俺のことを想っていてくれていた女の子に対しての俺の気持ちでさえ、もだ。 あの頃の俺は本気でこいつのことが好きだった。それは俺にとっては初めての恋愛であり、『女の子』というものを初心(うぶ)だった俺に教えてくれたのはこいつだった。 だけど俺は自分でも気づかないところで桐乃の事も好きだった。それまでは実の妹というフィルターが掛けられていたから全てにごまかしが通じていたんだ。だがそのフィルター(ごまかし)も二人に血の繋がりがないという事実によっていとも簡単に瓦解していった。 結果、俺は桐乃を選んだ。桐乃に対する想いが抑えられなかったからだ。結局俺は高坂桐乃というあの誰よりも我が侭でどこまでも俺に甘えてくる女の子のことを憎からず想っていたらしい。 妹でもあり恋人でもあるとわかった瞬間に桐乃への抑えられないあの黒い気持ち、だからなあ。長年の想いの積み重ねって恐ろしい。 いずれにしてもその時俺達は瑠璃からどんな罵倒を受けても文句を言えない立場だった。当たり前だ。俺自身でさえ世界一愛していると思っていた女の子が一夜にして変わったのだから。傍から見たら尻軽にも程があるだろうよ。 でもこいつは祝福してくれた。怒るどころか満面の笑顔を湛えて。 瑠璃曰く、こうなることは『運命の記述』にある通り、全ては予定調和よ。だと、さ。 …それでもその時のこいつの目が一晩泣きはらしたように赤く充血していたのは俺も桐乃も見逃さなかったけどな。 そしてその後のこいつのことを思うと感謝に耐えない。 今は俺の良き友達であり元恋人。桐乃の二人といない親友。そして共通の桐乃という『妹』を持つ者。 それが五更瑠璃という誰よりも掛け替えのない俺達の仲間だった。 まあそれとこいつの彼氏の話は別だけどな!! その時は全力で妨害させていただきます!! そういってあやせみたいなことを考えていると、 「ストォーーップ!!??ちょ、ちょっと黒猫さん!一体お兄さんと何を話しているんですか?!」 出た、本人。 さっきまで新郎の俺がいるにも関わらず桐乃の横に常時陣取っていたあやせが憤然とこちらに向かってくる。…俺はいつでも桐乃と居れるがあやせはいつも一緒に居る事が出来ないから今日はずっと隣にいる、だとよ。相変わらず何言ってんだかこの女は。 「あら?何かしら?」 「と、とぼけないで下さい!どう見ても現行犯じゃないですか!」 「あ、あやせ、落ち着い、」 「シャラップ!お兄さんは黙っててくれますか!?」 「…は~い」 一気に引っ込められる俺。男の立場どころか人権すらこの女の前にはないらしい。 「で?一体何が現行犯だというのかしら?『新垣あやせ』さん?」 「きょ、今日は桐乃とお兄さんの結婚式ですよ?!この二人の永遠の愛を誓う大切な大切な記念日なんです!一生の宝なんです!そ、それにキズをつけるような、」 「あら?私と先輩は今これまでの二人の友好を語り合っていただけよ。もちろん先輩後輩のね」 「ダウトぉーー!!何が先輩後輩ですかっ!?どうみても貴女いま、女の顔をしていましたよ!ええ、私が今きっちり確認しましたもの!間違いございません!」 「な、何が女の顔よ!い、いやらしいわね!」 「いやらしいのはそっちです!何てふしだらな女(人)ですか!」 「ふ、ふしだらですって?!どの口が言っているのかしら!?貴女が未だに先輩のことを一人想って狙っていること私知っているのよ!?現に貴女この間の駅前の喫茶店で二人一緒にお茶した時に、」 「ッ!?あーあーあー!!そ、それは言わない約束でしょうが!協定違反ですよっ?!」 「あ、貴女が余計な口を挟むからよ!そ、それにここまで来て協定も何も今更あったものではないわ!!」 「な、何ですってぇー?!何て不義理な女ですか?!『私は先輩の事を影で想っていればそれでいいの…』とか少女マンガの切り抜きみたいなこと口にしておきながらよくものうのうと!!」 「あ、貴女?!よくも今言ってはならないことを言ってくれたわね!…そう、それならこちらにも考えがあるわ!!『本妻が駄目でも愛人なら桐乃も許してくれますかね(にっこりマジキチスマイル)』とか『あやせって名前…忍ぶ女って意味に聞こえません?私…初めてお兄さんと出会ったあの日からずっと…』」 「そ、それは聞かなかったことにしてくれってあれだけメールでも電話でも再三…!!」 「そんなに都合よく忘れられるほど人間の頭は単純に出来てはいないわ!!」 「こ、この!!別れた女の男への未練ほど醜いものはこの世にないんですよ?!いつまで貴女ご自慢の「眼」でありもしないお花畑を覗いてらっしゃるんですか?!」 「?!う、うるさいわね!!いいかげんしつこいのよこの片想い体質のストーカー女!!」 「あ、貴女に言われる覚えはないです!!片想い体質のストーカー女は貴女じゃないですか!?」 「だ、黙って聞いていればこの女ぁーーー!!!」 むきー!! きゃいきゃい!!きゃいきゃい!! むぎゅむぎゅむぎゅぎゅ!! 年甲斐もなく二人揃って周りの目も気にせずキャットファイトを始める二人。お互いつねり合っている瑠璃とあやせの柔らかい頬っぺたが餅のように伸びるわ伸びるわ。おお、よく伸びるわ伸びるわ。 「お、愚かなる人間風情が!!零距離戦闘でこの私に勝てると本気で思っているのかしら…!!」 「な、何が零距離戦闘ですか?!こんな貧相な身体で!!」 「?!だ、誰がナイチチよ誰が!!わ、私だってあれから日々成長して…!!」 「高校時代から少しも変わってないじゃないですか!?毎日の涙ぐましいバストアップ体操ご苦労様です!!でも残念でしたね!!鍛錬の成果が『全く』現れなくて!!今日だってパッド入れているの丸わかりです!!こ、これでお兄さんの気を少しでも引こうと…!!あーいやらしいいやらしい!!」 「じ、事実を捏造しないでくれるかしら!?貴女だって今日はお化粧が随分乗っているじゃない!?一体誰に向かってアピールしているのかしらねっ?!この雌はっ!?それも協定で言っていた研究の成果かしらっ!?」 「その事を言うなって言ってるでしょォォォォッッッ!!」 ヒートアップする二人。和やかな目で見守る皆。全てを知った顔で生暖かい目で見守る日向ちゃん。お。お~い?黒猫さん、あやせさん。ここは神聖なチャペルであるからしてですね…。 「お、お~い。そ、その辺で」 「誰のせいですか!?」「誰のせいよ!?」 「は、は~い…」 ぴしゃり。 撃沈。男女平等どころかおもっきり女尊男卑じゃねえかこれ?! 「瑠璃」 そうしてキャットファイトに興じる瑠璃とあやせを見ていた桐乃が声を掛ける。 「…」 「…」 見つめ合う二人。そして…。 「…とても綺麗よ。貴女」 「…ありがとう」 「ふふ…」 「?」 「あ~あ。本当にもう何もかも嫌になるわね」 「?何が?」 瑠璃はどこかおどけた調子で(こいつのこんな態度は実に珍しい)。 「完敗、ってことよ。桐乃」 「…」 「本当に一人で傷心旅行にでも出かけようかしら?女一匹、一人旅っていうのも悪くないけれど少し寂しいわね。ふふ。ねえ、あやせ。同じ敗北者同士ということで一緒に行く気はないかしら?美女二人での湯煙温泉事情…。なかなか風情があって乙なものじゃない?」 「だ、だれが敗北者ですか?!誰が?!し、失礼な!!わ、私は最初からお兄さんのことなんか…!!」 「あら?違うというの?」 「…今更言えるわけないじゃないですか…」 ごにょごにょ ?あやせは今何て言ったんだ?よく聞き取れなかった。そうしていると桐乃が、 「瑠璃…」 「ふう。まあ独身女の空しい独り言はここまでにしておこうかしら。あまりこの場の空間を私の闇のオーブで満たしたくないしね」 「っ!」 桐乃は感極まって耐えられなくなったのか、ついに瑠璃に抱きつき泣き出した。瑠璃はそんな桐乃を優しく抱きしめ返す。 「ごめんね…ごめんね…」 「…」 「兄貴のこと…京介のこと…辛い決断させてごめんなさい…。京介の事、奪っちゃってごめんなさい…」 「…」 「あたし…知ってた。瑠璃がまだ兄貴のこと諦めきれてなかったこと。あたし知ってた。瑠璃がいつも京介のことを想ってたこと…。それでも…それでもあたしの…あたし達の為に…。あたし…あたしは…」 「ほうら。もう泣かないの」 瑠璃はその綺麗な指先で桐乃の涙を優しく拭う。 「女の涙も見せすぎると台無しよ。いざという時の為に取っておかないと。せっかくの晴れの舞台なのだからもっと笑顔になさい」 「瑠璃…」 「それにもう…先輩のことは何とも思っていないわ」 「…」 「本当よ。所詮私とあの黒き獣は繋がらぬ運命だったのよ。ふふ…アカシックレコードにアクセスした情報によると、前世で夫婦(めおと)だった者達は今生では夫婦となるのは難しいそうよ。それは夫婦としての絆を前世において充分に味わったからなのだからだそうよ」 「…」 「それに…『妹』の幸せを喜ばない姉はいないわ…」 …瑠璃…。 「まあそれにこんな言い方は悪いけれど…私にとって親友の貴女の方があの男より価値があったということね」 お~い。く、黒猫さ~ん? 「瑠璃…」 「もう、いつまでもメソメソしないの。貴女らしくないわよ?それに貴女まさか忘れたのかしら?私と貴女は宿命のライバル同士。それは今生において互いの所有物を競い合い覇を相争うという関係でもある。つまり…」 「!?あ、あんたねぇ~?!」 にやりとあの黒猫スマイル。 「ふふ…。今日で夫婦になれたからと言ってせいぜい油断しないことね。あの男(所有物)の心が貴女から離れたと知ったらいつでも遠慮なく奪いにいくわよ?」 「あ、あんたさっき京介の事もう何ともないって言ってたじゃん?!」 「ええ。あんな男にこの私の心はもうびた一文たりともくれてやるものですか。その指摘は正しいわ、桐乃。…だからあの男の別の価値…私の愛玩人形として奪いにいくのよ」 おい!?俺はおまえのペットか黒魔術の実験用モルモットですか!? 「もう…」 「…桐乃」 それから瑠璃はす、っと澄んだ瞳で再び純白のウエディングドレスで身を包んだ桐乃を見つめなおし、 「おめでとう、桐乃。いつまでも先輩と、仲良くね」 「…うん!」 再び瑠璃の胸元に抱きつく桐乃。笑顔の瑠璃。はは!やっぱこいつらはこうでなくっちゃな。 喧嘩していがみ合って自分の趣味のことで全力でぶつかり合って。だけど誰よりもお互いのことを認め合ってて…。 「…」 なあ『桐乃』…。俺達今、幸せだよ。皆幸せだよ。 お前が大好きといってくれたこの世界は今もこんなに輝いてる。 「…」 晴天の青空。大空を羽ばたく白い鳥。神聖な教会での神様の祝福。 そんな中俺はあの日のことを思い出していた…。 もう一人の、消えた黒髪の俺の妹の事を…。
https://w.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/335.html
120 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)[] 投稿日:2011/03/29(火) 02 09 11.79 ID uH4czZPg0 [2/8] 「俺の名前は高坂京介ごくごく平凡な高校生だった。だったというのはこの春俺は高校を卒業し、大学生となるからである。 そして今日は幼馴染である田村麻奈美と大学で使う(予定)の電子辞書を買うために近所の電気屋へ向かう予定だ・・・・いかんいかんこんなこと話してる間に時刻は12:55約束の時間に遅れちまう。 俺は自室のベットから立ち上がり、下へ降りて行った。 「「なんであんたが出てくんのよ!?」」 電話でもしているのだろうか、リビングのほうから馬鹿でかい声が聞こえてくる。声の主は高坂桐乃、俺の妹である。この妹には何度も何度も困らされてだな・・・・いや、やめておこうこの話をすると文庫本7冊ぐらいはかかりそうだ。 関わるとまずいことになりそうな予感がする。ここは関わらぬのが得策っ!長年の経験がそう言っている! 「いってきます。」 俺はさっさと家を出た。 自宅から歩いて数分、田村屋へと到着し俺は押しなれたインターホンを押す。 ピンポーン ドタドタと騒がしい足音が聞こえてきて扉があいた。 「ハイよっ!ってなんだアンちゃんか。」 「ようロック久しぶりだな。麻奈美はいるか?」 「オウいるぜ、ねぇちゃーん!!アンちゃんが来たぞぉい!!」 「今いくよぉ。」 今度はパタパタと足音が聞こえてきて俺の幼馴染でありお婆ちゃんでもある麻奈美が出てきた。 「少し早かったか?」 「そんなことないよぉ。」 「そうか、じゃあとっとと行っちまうか。」 「うん、そうしよっか」 俺たちは田村家を後にし電気屋へと向かった。 121 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)[] 投稿日:2011/03/29(火) 02 10 50.43 ID uH4czZPg0 [3/8] 三十分ほど歩き電気屋についた。運がいいことに渡った信号はすべて青で、30分ほど早くつき時刻は2:00。 「電子辞書は2階に売ってるみてぇだな。」 俺は店内案内版を見て言った。まぁ秋葉の電気屋を散々見た俺は案内板など見なくてもどこに何があるのかなんて感覚でわかるけどなっ!・・・・なんか悲しくなってきた。 「どうしたの?京ちゃん。」 「なんでもねぇよ。」 電気屋のことを詳しく知りすぎてて、悲しくなってました。なんていえるか!! 「はぁ~電子辞書って言ってもいっぱい種類があるんだねぇ。」 「まぁどれ選んでも大した違いはねぇだろ。」 と言ったもののどれを選んだらいいものか全くわからず、結局店員のお世話になったのは内緒だ。 時刻は2:45俺は真っ黒の電子辞書、麻奈美は俺と同じ機種の真っ白の電子辞書を購入し本日の予定はこれで終了だ。 一階へ降りる途中さっきまで俺たちがいた電子辞書のコーナーに桐乃がいたような気がしたが。・・・まぁ気のせいだろう、あいつがこんな小さな電気屋に来る訳もないしな。 「キ・・・・ア・・・・キィ!!」 店を出て数分歩いたところで誰かが俺を呼んだ気がした。 振り向く →振り向かない 気のせいだろうと俺は再び歩き出そうとした瞬間 「うぉっ!?」 俺は後ろから誰かに突き飛ばされた、慌てて後ろを振り向くと・・・ ドン!!! 脳まで響き渡る鈍い音が聞こえ、喉が一瞬にしてカラカラになる、俺は目の前で起こった出来事を全く理解することができなかった。 「桐…乃?」 小さな声でゆっくりと呼びかけた。 なんだ?どういうことだ?目の前で妹が桐乃が車に轢かれた? 「桐乃!!」 俺は倒れている桐乃へ再び声をかける今度は強く大きく。 返事は返ってこなかった…………… 122 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)[] 投稿日:2011/03/29(火) 02 12 34.19 ID uH4czZPg0 [4/8] 俺の妹が死んで一週間がたった。死因は交通事故、酔っ払い運転。 そう・・わかっているのに実感が湧かない、「妹」が死んだという実感が。いや分かりたくないだけなのかもしれない。 親父、お袋、麻奈美、黒猫、沙織、あやせみんな口をそろえてこう言う。 「お前は悪くない…悪いのは犯人だ」 「アンタは悪くないわ…」 「京ちゃんはわるくないよっ!」 「先輩…貴方は悪くないわ自分を責めないで?」 「京介氏!京介氏は決して悪くございませぬどうか自分を責めないでください。」 「お兄さんはっ悪くないですから…」 なんでだ?俺があの時「振り向いて」いれば桐乃は…助かったのかもしれないのに。 俺がまた深い深い自己嫌悪に陥りそうになったとき Prrrrrr prrrrr prrrrrr 電話が鳴った・・・ 「誰だよ…」 俺は誰から繋ってきたのかも来たのかも確認せず電話に出た。 「「あっもしもしあやせ?たしか今日暇だったよね?」」 聞き間違えか?いや聞き間違えるわけがねぇ! 「桐乃...なのか?」 「「なんであんたが出てくんのよ!?」」 「っ!?なんつー馬鹿でかい声をだしやがる!?鼓膜が破れるかと思ったわ!」 「「うっさい!!あやせの携帯からなんであんたが出てくんのよっ!!」」 落ちつけ俺が今電話している相手は死んだはずの桐乃。・・・どうなってやがる? 「「早く答えなさいよっ!」」 「ちょっと待てこれは俺の携帯だぞ?」 俺は現状に戸惑いながらも真面目な声で言った。 「今から俺の質問に答えてくれ。」 「「な、なんなの?」」 「お前は今生きているのか?」 なんつーアホな質問だこれっ!? 「「はぁ?何言ってのアンタ頭大丈夫?」」 うぐっ、さすがに今回ばかりは否定できねぇぜ。 「じゃあ今日は何日だ?」 「「チッ...いい加減にしてよね?」」 「いいから。何日だ?」 「「・・・・3月の20日だけどそれがなに?」」 「まじかよ。」 俺は思わずそうつぶやいていた。だって信じられるか?今日は27日だぜ?すなわちこの電話は過去から繋ってきたことになるんだぞ?そんなのアニメやマンガの話だろ? だけどこれは違う現実だ。 「「で?なんなの?どういうことなのか説明してくれる?」」 「桐乃、黙って俺の話を聞いてくれないか?バカなこと言ってると思うだろうが嘘じゃない。」 「「・・・・言ってみなさいよ。」」 「俺の今日の日付けは27日なんだ、・・・たぶんこの電話は過去から未来へと繋がっている。」 「「アンタ自分が何言ってんのかわかってんの?」」 桐乃から呆れたような声が聞こえてくる。いや実際に呆れてるのだろう。俺だって今自分で言ったことが信じきれてねぇ。だけど 「ああわかっている、嘘じゃねえ頼む信じてくれ。」 「「そんなの信じれるわけn「20日にオメェが死んじまったんだよ!!俺は今死んだはずの奴と今電話してんだよ!」 「「何・・言ってんの?え?アタシが死んだ?」」 「・・・・・・」 「「ちょっと?え?」」 「交通事故で…俺をかばって………」 気づくと俺は泣いて桐乃に頼んでいた。 「頼むっ!今日1日家から出ないでくれ、そしたら未来が今が変わるかもしれねぇ。俺はお前に死んでほしくなんかねぇんだよ!」 ブツッザザーー 電話が切れた----- 149 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage sage] 投稿日:2011/03/29(火) 22 30 46.83 ID j6M4zgJw0 [1/2] prrrrrr・・・・・・ 「はいもしもし?」 『あんたちょっとありえなくない!?』 「なんだよ、また俺が何かやったのか?」 『それ以外にアンタに電話かける理由なんて無いでしょ!』 「そんな寂しいこと言うなよ」 『うわ、シスコン!キモ!』 「ほっとけ、それで今回はなんなんだ?」 今、俺が電話している相手は3ヶ月前に死んだ妹の桐乃だ。 俺がちょっとあいつのことを無視してしまったばかりに交通事故で亡くなってしまった。 それから七日後、俺の携帯に電話がかかってきた――相手は一週間前の桐乃。 何のいたずらか俺の携帯は過去と―いや、パラレルワールドと繋がるようになってしまった。 この世界の桐乃は死んでしまったけれど、電話の向こうの世界の桐乃は無事らしい。 それ以来何度も電話で妹と話をしている。 一度は妹を失ってしまった俺は、もう二度と離すまいと硬く決心したのだ。 まあ、電話の内容はほとんどが“あっちの俺”の愚痴なんだけどな? しかしこうやって客観的に話を聞かされると俺って相当鈍いんだな~と実感する。 桐乃の気持ちになんでこうなるまで気付いてやれなかったんだろう? 「心配すんな、お前の事嫌ったりしてねーって」 『ほんとに?』 「本当さ、“俺”が言うんだから間違いない」 同じ世界の兄貴じゃないからか“俺”に対しては桐乃はけっこう素直だ。 その為か俺も素直になれる、もっと早くこうなれれば良かったのに・・・ 「まあ、頑張れ」 『・・・うん、頑張る』 電話を切って一人ふと思案にふける。 俺がもっと早く気付いてやれれば・・・・・ 「どうなんだろうな?」 もう一度携帯に手を伸ばす―― 押した番号は、よく知っているのに、全くかけない番号だ―― 「出てくれよ、“俺”!」 181 名前:149 ◆NAZC84MvIo[sage sage] 投稿日:2011/03/30(水) 11 51 14.49 ID 3FAuO/Vu0 [1/5] ――――――――――――――――――――――――― あたしは今、兄貴の部屋にいる。 あたしの部屋と違ってこの部屋に鍵は無いから自由に出入りできるのだ。 特に何かをするわけでもなく椅子に座ってぼーっとしている。 「あれから3ヵ月かぁ・・・」 あの不思議な電話がかかってきてからそれくらい経つ―― 長いのか短いのかよくわからない。あれ以来ほぼ毎日この部屋で過ごしていた。 そして今日も同じようにそこに居たら、突然携帯が鳴り出した。 ――――――――――――――――――――――――― 「出てくれよ、“俺”」 祈るような気持ちで自分の携帯の番号に電話をかける―― 機械的なコール音が鳴り響くので繋がっているのは間違いないはずだ。 プッ 「おお!繋がった!!びっくりしてるだろうがまず話を聞けよ!」 焦って相手が誰なのかなんて確認もせずまくし立てると、聞きなれた声が返ってきた― 『あ、兄貴!?ねぇ兄貴なの!?』 ――――――――――――――――――――――――― 突然鳴り出した兄貴の携帯に出てみると、そこから聞こえてきたのは兄貴本人の声 『おお!繋がった!!びっくりしてるだろうがまず話を聞けよ!』 「あ、兄貴!?ねぇ兄貴なの!?」 『なんだ?桐乃か?人の携帯に勝手に出るなよ、そこに俺は居ないのか?』 3ヶ月ぶりに聞く兄貴の声は憎たらしいほど能天気で明るかった。 「い、居るわけ無いでしょ!?だってアンタは・・・!」 3ヶ月前、“一週間後の兄貴”から電話がかかってきた。 内容は『交通事故にあってしまうから今日一日家から出るな』という頼み事 あの時のあたしは馬鹿だった。電話の兄貴は『俺をかばって死んだ』と言っていた。 ならば、あたしが兄貴をかばわなければ必然的に兄貴は・・・! その事に思い至りさえすればあんな事にはならなかったのに、 いつに無く真剣な声で頼む兄貴の言う事を盲目的に聞いてしまった代償は ―兄貴の死― その事を誰も責めない、あやせも黒いのもでかいのも、両親でさえ。 『悪いのは犯人』口をそろえてそう言った、でも違う。 あたしは事故が起きることを知っていたのだ。それなのに・・・ 「な・ん・で!そんなに能天気な声で話しかけてくるのよ!このバカ!!」 この3ヶ月、兄貴を失った悲しみの中にいたのに、いざ兄貴の底抜けに明るい声を聞くと なんだか無性に腹が立ってきて、散々兄貴を罵った。 こんな会話も、三ヶ月ぶりだ・・・・・ 182 名前:149 ◆NAZC84MvIo[sage sage] 投稿日:2011/03/30(水) 11 52 23.99 ID 3FAuO/Vu0 [2/5] ――――――――――――――――――――――――― 「そっか、そっちの俺はもう居ないのか・・・」 ひとしきり無神経だの能天気だの頭がお花畑とまで罵られた後事情を聞くと、 どうやらいつもの桐乃ではなく、また別の桐乃のようだ。 そういえばこっちから電話をかけたのは初めてだったし まさかそんなところに繋がるとは思ってもいなかったが・・・ 「でも良かった、そっちのお前も無事だったんだな!」 それだけで俺は本当に満足だった、桐乃が無事ならそれでいい。 桐乃が死んでしまう世界なんて、今俺がいるところだけでたくさんだ。 「なぁ、俺はお前さえよければそれでいいんだからさ、 あんまり引きずらないで元気になってくれよ、頼むぜ」 一人の桐乃を出来るだけ励ました後、電話を切る― それにしても、このことをあっちの桐乃に教えたらどう思うんだろうな? ――――――――――――――――――――――――― 『なぁ、俺はお前さえよければそれでいいんだからさ、 あんまり引きずらないで元気になってくれよ、頼むぜ』 勝手にそんなことを言ったかと思うと、また勝手に電話を切る。 あたしがこの3ヶ月どんなに寂しかったか知らないで!! prrrrrrr・・・・・・・ まだまだ話し足りないあたしは急いで着信履歴からリダイヤルする。 『・・・・・はいもしもし?』 またとぼけた声が聞こえてきて腹が立つ! 「あんたねぇ!!あたしが切るまで待ちなさいよ!何勝手に電話切ってるのよ!」 『・・・どういうことだよ?』 電話に出た兄貴の声は本当に混乱しているようだった―― ――――――――――――――――――――――――― 「あんたちょっとありえなくない!?」 「それ以外にアンタに電話かける理由なんて無いでしょ!」 「うわ、シスコン!キモ!」 壁越しに聞こえてくる桐乃の声―― 最近俺となにかするたびに誰かに電話をかけてるようだ。 猫かぶりの口調ではないから学校の友人と言うわけでもなさそうだが、 黒猫や沙織でもないらしい。一体誰だ?『シスコン』なんて呼ばれているのを聞くと もしや赤城なのか?という疑問も湧く。正直なところ相手が気になって仕方ない―― 一体誰にどういう用事で電話をしてるのか・・・ prrrrrrr・・・・・・・ なんとなく耳を澄ましていたら俺の携帯が鳴り出した。 誰だろうかと思ってディスプレイにうつる番号を見るとそれは自分の番号― 「ど、どういうことだ?」 携帯会社のシステムエラーか何かの間違いだろうか? おそるおそる電話に出る―― 「・・・・・はいもしもし?」 『あんたねぇ!!あたしが切るまで待ちなさいよ!何勝手に電話切ってるのよ!』 電話から聞こえてきたのは隣の部屋にいるはずの妹の声―― 「・・・どういうことだよ?」 その日から俺と“桐乃”の電話相談という名の『女心説明指導』が始まった・・・ 183 名前:149 ◆NAZC84MvIo[sage sage] 投稿日:2011/03/30(水) 11 53 31.82 ID 3FAuO/Vu0 [3/5] ――――――――――――――――――――――――― 「もうすぐ一年だね」 「そうだな~、あいつらいつまで電話するつもりなんだろう?」 「“あっちのあたし”はなんて言ってたの?」 「『“あたし”にあんまり心配かけんな!』だってさ」 「へー、もうそんなに心配してないのにね?」 「桐乃の方はどうなんだよ?“あっちの俺”は何て言ってるんだ?」 「『頼むから桐乃を幸せにしてやれ』ってさ」 「はっ!!今更言われる必要もねーな!」 「えへへ~、なんかあたし愛されてるね~///」 「・・・ふん、電話で話をすることしか出来ない奴に負けるかっての」 どうにも奇妙な自分への嫉妬をあらわにしながらこの一年間を振り返る。 平行世界の妹からの奇妙な電話―― その電話に後押しされながら俺はこっちの妹との関係を深めていった。 それはきっと桐乃も同じだろう。 平行世界の俺との電話に何度も励まされ慰めてもらった、と言っていた。 今の俺たち二人の幸せは、電話の向こうの俺たちによって支えられている。 でも、もうきっと大丈夫だ。 この先俺と桐乃が気持ちをすれ違わせて悲しむ事は無いだろう―― 「やっぱさ、寂しいんじゃないかな?」 「そうだよな・・・」 俺たちの世界は俺たち二人が無事に一緒に生きている。でも“あいつら”は一人きりなのだ。 何かと俺たちの心配をしてくれる“俺たち”は、 大事にしたい兄や妹を失ってしまっている・・・ 「そっちが心配だよ。“あっちのあたし達”にも幸せになってもらわないとさ」 「そうだよな、今度の電話でそう言ってみるか?」 「うん、そうだね。そんでしばらくは電話しないでさ、かかってきても出ないの。 いつまでも“こっち”の心配させてるだけじゃ“あたし達”も前に進めないじゃん」 「そうだな、荒療治だけど“俺たち”なら大丈夫なはずだしな!」 だれか良い相手を見つけてくれればいい。心の底からそう思う。 平行世界の自分たちの幸せと、隣で笑う笑顔の桐乃を守る決意を新たにして、 澄み切った青空を見上げる――― ――――――――――――――――――――――――― 「もういいかな?」 「もういいだろ」 「そうだね、もういいよね」 「じゃ、かけるか」 「うん」 ――――――――――――――――――――――――― prrrrrr・・・・・・・ 「お、桐乃からだ」 もはや定番になった“あっちの桐乃”からの電話― 目の前で妹を亡くした悲しみに耐える事が出来たのはこの電話のお陰だ。 ここに居なくても、別の世界で元気にしている桐乃が居る。 その事実だけで俺がどんなに慰められたかわからない。 「はいもしもし」 『あ、兄貴?元気してる?』 「当たり前だろ」 『うん、それはいいんだけどさ・・・』 ――――――――――――――――――――――――― prrrrrr・・・・・・・ 「あ、兄貴からだ」 もはや定番になった“あっちの兄貴”からの電話― あたしの想像力不足で兄貴を失ってしまった罪悪感を拭ってくれたのはこの電話のお陰だ。 あたしが身代わりになった世界の兄貴と、二人とも無事だった世界の兄貴が 『お前が無事ならそれでいい』って言ってくれた。 「はいもしもし」 『よ、桐乃。ちょっといいか?』 「当たり前じゃん」 『はは、それはそうとさ・・・』 184 名前:149 ◆NAZC84MvIo[sage sage] 投稿日:2011/03/30(水) 11 54 14.64 ID 3FAuO/Vu0 [4/5] ――――――――――――――――――――――――― 「「もう心配しなくていいからさ」」 「「うん、だからお前/あんたもちゃんと幸せにならなきゃ」」 「「うん・・・うん・・・それじゃ、またな/またね」」 ふたり揃って電話を切った。 おそらくこれでこの奇妙な電話の中継も最後だろう。 隣の桐乃と目を合わせてふっと笑みをこぼす―― 「さぁ!これからどうなるかな?」 「んー、どうにかなるっしょ」 一人きりの俺が電話をかければ、ここの桐乃が出て ここの俺が一人きりの桐乃にかける 一人きりの桐乃がかければ、ここの俺が出て ここの桐乃が二人いる所の俺にかける そして二人いる所の桐乃がかければ、ここの俺が出て ここの桐乃が一人きりの俺にかける 「二人揃ってる所のあんたは、結局一度も自分からかけなかったね」 「やっぱ目の前に本人が居たらからじゃねーの?」 「ふふっ、やっぱ筋金入りのシスコンじゃん」 「ほっとけ!」 ここは平行世界の狭間――? いや、ここも俺たちが今眺めている3つの世界と同じく、無数にある世界の1つかもしれない。 あの事故以来、俺と桐乃はここでこの3つの世界を眺めていた。 ―――この不思議な電話だけがある世界で 「もう、お役御免でいいんじゃない?あたし達もそろそろ次の行き先決めなきゃね」 「そうだよな、でもどこに行くんだ?」 「アンタは決まってるでしょ」 ビシッ!と桐乃が指したのは一人きりの桐乃のお腹―― 「へっ!?マジかよ!?」 「そうよ!『またな』って言ったでしょ?会いに行かなくてどうすんの?」 「いや、しかしそれは・・・・・」 「多少のマザコンは大目に見てあげるからさ、アンタはあそこで決まり!これは決定!」 「ちょっ、なんかせこくね?なんでお前が決めるんだよ!!」 「だってあたしの行き先はあんたが決めるんだからこのくらい当然でしょ?」 「どういう意味だよ!?」 「黒いの?でかいの?あやせ?地味子?それともまさか加奈子?」 「・・・・・・・・・・」 「あんたが選んだ相手の中に行かなきゃ会えないじゃん」 「そういう意味かよ・・・」 でもまぁ、俺もそうしてくれた方が嬉しいしな。 「ファザコン娘になるぞ?」 「別にいいじゃん、それよりアンタは誰を選ぶの?」 「今の俺じゃお前以外の選択肢の可能性は平等だからな、正直全くわかんねー」 「はあ、あんまりぐずぐずしてられないのに・・・」 「ま、もう少し待っててくれよ」 二人して自分たちの行く末を見守る―― あの二人は出会うことは無いけれど、あの二人のもとに俺たちが行く事は出来る。 そうすればまた“俺たち”は会える。 「楽しみだね」 「楽しみだな」 二十数年後、仲良し兄妹のもとに生まれたマザコン一人息子とファザコン一人娘が 従兄弟同士でどたばたの恋愛劇を演じるのは、また1つ隣の世界のお話。 ―fin―
https://w.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/241.html
920 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/26(土) 09 21 44.90 ID n+3j7BBT0 [2/6] 「高坂くんって・・・・・・・・・浮気してるでしょ?」 「なっ!?えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」 「にいさまは、ねえさまのことが嫌いになっちゃったのですか?」 興味深々で聞いてくる五更家の次女。 そして当然驚く俺。 下の妹は・・・・・・アレ?なんかちょっと怒ってる? 「にいさま。にいさまとお話がしたいです。明日、学校が終わったら公園に来てください。」 昨日、五更家から帰ろうとすると、黒猫の一番下の妹から小声でこんなことを言われた。 あの子から頼まれたら行くしかないだろ?いや別に変なことは考えてないけどよ。 わざわざ俺に小声で言ったってことは他の人には内緒にしたいことかもしれない。 そう思ってこのことは黒猫には言わなかった。 当の黒猫は担任との二者面談で今日は帰りが遅いらしいしな。 ・・・とはいえ、あんな小さい子が俺に何の用だろう? もしかして『一緒にメルルごっこしてください』とかか!? いやいや、さすがに俺も公園でメルルごっこは恥ずかしいぞ!?一応世間体ってもんが・・・。 ・・・・・・・・・なーんて考えながら公園に行くと、 すでに下の妹はブランコに乗って待っていた。なぜか上の妹も一緒に。 「おねぇちゃん!にいさまが来ました!」 「ゴメンな、待たせちゃって」 「あ、大丈夫。私たちも今来たとこだから。それより高坂くん―」 「ん?なんだ?」 と、ここで冒頭に戻る。 もちろん俺は潔白だ。 俺と黒猫は曲がりなりにもその・・・恋人同士だし・・・ もちろん俺はアイツのこと好きだし・・・。なんかちょっと照れるな。 って今はそれどころじゃねえ!さっさとあらぬ疑いを晴らさねえと! 「そそそそんなわけないだろ!神に、いや、夜魔の女王に誓って絶対にやましいことはしてない!」 びっくりして思わず声が妙に上ずっちまった。 これじゃ完全にバレた時のリアクションじゃねーか! そして何で俺は遥か年下の少女に尋問されてるんだ・・・orz 「だいたいにして、何で俺に浮気疑惑がかかってるんだ!?」 「ふ~ん。じゃ、これは誰?」 したり顔でポケットからケータイを取り出す次女。 なっ!? まさか俺は証拠写真まで撮られてるのか!? いったい誰と一緒に写ってる写真なんだ? 有力候補は麻奈美だな。自分で言うのもなんだが、アレは確かに勘違いされそうだ。 ・・・だが頼む。あやせにセクハラしてる写真だけはやめてくれ! アレはなんつーかその、スキンシップの一種っていうか・・・過去のことで、とにかく誤解なんだ! それに黒猫と付き合ってからは一切やってない!信じてくれ! 俺の葛藤をよそにケータイの画面がこっちに向けられる。 だが、そこに写っていたのは・・・・・・・・・・・・・・・。 921 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/26(土) 09 23 01.78 ID n+3j7BBT0 [3/6] 「き、桐乃!?」 大量のメルルグッズを手に入れて上機嫌の桐乃と、それを全て抱えて疲れきった俺が駅から出てくる場面が激写されている。 それは先週、桐乃にアキバに連れ出された時の様子をとらえた写メだった。 荷物持ち要員っつー名目で半ば強制的にな。 まったく、あの時はホントに途中で腰が抜けるかと思ったぜ。 ま、まあ、 デートを楽しんできて満面笑みの彼女と、彼女の荷物を全部持ってあげてる献身的な彼氏に見えなくもない・・・・・・・・・・・・・・・・のか? 「・・・・・・・・で?どうなの?高坂くん」 さっきまで少しニヤついていた上の妹も緊張した顔つきに変わった。 下の妹はかなり不安そうな様子だ。 こりゃ完全に疑われちゃってるな・・・・・・・・・・・・・・・ 「あ、あのな!おまえらは何か誤解してるみたいだけど・・・これは俺の妹だ!断じて浮気相手なんかじゃない!」 「ええっ?これ妹さん?じゃあもしかしてこの人がルリ姉がいっつも電話で喧嘩してる・・・」 「ねえさまのおともだちの『ビッチさん』ですか?」 拍子抜けしたかのように二人の顔が一気に緩んだ。 「ご、ごめんね高坂くん!友達と遊んできた帰りに偶然二人のこと見つけて!・・・びっくりして・・・早とちりしちゃったっていうか・・・・・・」 今度は俺じゃなくて上の妹が焦る番だった。そりゃ恥ずかしいよな。浮気相手と妹を間違えるなんて。 「ごめんなさい、にいさま・・・・・・・・・・・・・・・」 下の妹はしょんぼりしちゃってるよ。素直でいい子だな~。ウチの妹様にも少し見習ってほしいよ。 「いや、わかってくれればいいんだ。でも・・・姉ちゃんに聞けばすぐわかったのにな?」 「だって・・・もしホントに浮気だったら・・・・・・・・・ルリ姉ガッカリすると思うしさ・・・ だから高坂くんに直接確かめた方がいいなって」 「あ、そ、そうか・・・」 この子たちはホントに黒猫のことが大好きなんだろうな。 だからわざわざ俺たちの仲を心配して俺を呼び出して・・・。 「な、なんか・・・誤解させて悪かったな!じゃあ家まで送ってってやr「じゃあさ、高坂くんはルリ姉とドコまでいってるの?」 「は?」 おい、照れ隠しのつもりか?なんか主旨外れてねえか? 「ねえさまとちゅーしてるんですか?」 って、おまえもか! 「えっ、ちゅー!? いや・・・えーと・・・・・・」 そう言われて考えてみると、特に何もしてない。 付き合ってから変わったことと言えば、 登下校が一緒になったこと・互いの家に前より頻繁に遊びに行くようにもなったことくらいだ。 話す内容もマスケラのこととか創作活動のこととか桐乃たちのこととか。 まあ俺らが付き合うことになって周りが少しゴタゴタした影響もあるんだけどさ。 ちゅーなんてとてもとても。 思わず黙りこくった俺に、妹猫はすかさず追い討ちをかける。 「なになに?もしかして恥ずかしくて言えないようなコトまでやってるとかぁ~?」 「っ!?」 少しは俺にも気持ちを整理する時間をくれよ!つか下の子もいるのに何言っちゃってんだよ!? 薄々感づいてはいたがこの子は結構マセてるな・・・・・・。将来、桐乃みたいにならなければいいが・・・・・・。 つーか俺らはそんな関係じゃないっての! まだ手も繋いだこともないし、呼び名だって― 922 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/26(土) 09 23 49.07 ID n+3j7BBT0 [4/6] 「ふふ、冗談だって~。じゃあさ、高坂くんはルリ姉のこと何て呼んでるの?このくらいならいいでしょ?」 うおっ。タイムリー。 「そ、そりゃもちろん・・・・・・し、下の名前で・・・」 「へえ~。ってことは“瑠璃”って呼んでるってこと?」 「お、おう!その通りだ!普段は、る、る瑠璃って呼んでるんだ」 「わぁ~!にいさまとねえさまは“らぶらぶ”ですね!」 あーあ。こんな年下相手に嘘ついちまった。 ああそうだよ。“瑠璃”って呼んだのは今が初めてだ。 けど言えねえだろ・・・。 『本名呼ぶのが恥ずかしくてHNで呼んでる』なんて絶対言えねえだろ・・・・・・。 「にいさまはねえさまのことが大好きなんですね」 「あ、ああ。もちろん、大好きさ。」 「じゃあにいさまは、ねえさまとケッコンするのですか?」 「ぅえ!?ケッコン!?」 目を輝かせて聞いてくる下の妹。 でも小さいながらにこの子は真剣なんだろう。 ちょい恥ずかしいけど・・・・・・ここは俺も真面目に答えなきゃだな。 「お、俺は・・・・・・おまえらの姉ちゃんのことをずっと大事にしていきたいと思ってる。 だから将来的にはおまえらの姉ちゃんと、け、ケッコン出来たらいいなぁと」 「おお~!高坂くん、カッコいぃ~!!!」 「ねえさま、きっとすごく喜びます!」 おいおい。そんなこと言われたら照れるじゃねーか。 俺は知らず知らずのうちにまた暴走していた。 「だ、だから!その・・・君たちにも!し、将来は、俺の義妹になってほしいんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!」 言った。流れに任せてついに言っちまったぜ。いや、他意はないぞ? 「「わぁ~」」 歓喜の声をあげる二人の義妹(候補)。 この子たちはその・・・俺が義兄になっても・・・まんざらでもない・・・・・・・・・のか? 俺が戸惑いながらも手ごたえを掴んだその時、 923 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/26(土) 09 24 32.58 ID n+3j7BBT0 [5/6] 「あ、あ、あ、貴方!・・・・・・なななな何を言っているの!?」 「あっ、ルリ姉。おかえり~」 声がした方に振り向くと、顔を赤らめて制服姿の俺の彼女が立っていた。 やや困惑した表情をしていて、うん、可愛い。 もしかしてアレか?今の『結婚したい宣言』聞かれちまったのか? ヤバい。俺の顔も赤くなってくるのがわかる。 いやでもこういうのって俺の口から直接言ったほうがよかったんじゃ・・・・・・・・・・・・・・・ってアレ?目つきがなんか俺を蔑すんでるような・・・・・・。 「人の家の妹たちに向かって、『俺の義妹になってほしい』ですって?とんだ変態ね。」 前言撤回。 こいつ、俺の宣言の最後の部分だけ聞いたんだろうな・・・・・・・・・・・・orz 「先輩が『重度のシスコン』だということはある程度諦めていたわ。でも、まさか他所の妹にまで手を出そうとするなんて・・・。 私はこの人を付き合うのを考え直すべきなのかしら?」 「だぁ~!違うんだ!これは誤解で「おにぃちゃん♪」 へ? 「ねえさまとおしあわせになってください。“おにぃちゃん♪”」 「じゃあ私たち先に帰るから!・・・ルリ姉のことよろしくね、“おにぃちゃん♪”」 「なっ!?“おにぃちゃん♪”ですって?あ、コラ!ちょっと待ちなさい!」 姉ちゃんが登場すると妹たちはそそくさと帰っちまった。 それにしても『おにぃちゃん♪』って・・・ でもまあ・・・・・・・・・悪い気はしねえな。 い、いや、別に俺は他所の妹をたぶらかすような重度のシスコンじゃねえからな!勘違いすんなよ!? 「・・・・・・それで?私がいない間にあの子たちと何を話していたの?」 はあ~。今度は姉猫から尋問か。 「べ、別にいいじゃねえかそんなの!そ、それよりさ、早くお前の家でゲーム制作の続きやろうぜ!・・・・・・・・・・・・・・・“瑠璃”。」 「え・・・・・・・・・・・・せ、せん・・・ぱい・・・・・・・・・・・・」 うう、今日一番恥ずかしかったぜ。 でも顔真っ赤にして俯いてる超可愛い彼女も見られたし俺は大満足だ。 これで・・・さっきの嘘はチャラにしてくれよな。 「ほら!早く行こうぜ!お前の妹たちも待ってるかもしれんぞ!?」 「あっ、ちょ、ちょっと!」 俺は瑠璃の手を引いて歩き出した。 俺の義妹たちが待つ家に。 って・・・ちょっと気が早すぎか? (終)
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/27.html
学校帰り、うだるような熱い夏の日差しを散々浴びながらあたしは歩いていた。 汗で制服が身体にベタ付いてきて気持ち悪い。帰ったら直ぐにシャワーを浴びよう。 何気なく空を見上げると、憎い位晴れ晴れとした青空があった。早く雲が太陽を隠してくれないかな。 そんなことを思いながら角を曲がると、ゆらゆらと揺れる陽炎の向こうにあいつがいた。 正確に言えばあいつと、女。 あたしと居る時とは打って変わって、楽しそうに安心した様子で話しながら歩いている。 何故か、胸の奥の方で締め付けられるような感覚がした。 あいつらの笑い声が、耳の中を掻き回す。 ……あたしはそれに背を向け、引き返した。別の道から帰ろう。 なんでそうしたんだろう。分からない。 あたしとあいつの兄妹仲はとても悪い。 でも、最近はまだマシになったような気はする。 『人生相談』の影響だと思う。 あれ以来、少しだけあたしとあいつの冷めた距離は縮まった。 あいつのことも見直したし、感謝もしている。それでも、やっぱりその距離は凄く遠い。 そういえば、なんでこんなに冷めた関係になったんだろう。 昔はこんなんじゃなかった。むしろ、仲が良かったような気がする。 そこまで考えを巡らせた時、ちょうど目の前に玄関のドアがあった。 「……まあ、いいや。今さらそんなこと、どうでもいいし」 そう小さく呟いて、私は玄関のドアノブを捻った。 「ただいま」 家の中に入って、靴を脱ぎながら言った。 あいつの返事はない。多分自分の部屋へ行ってるんだろう。 あたしが挨拶してやってんのになんで返事しないのよ、と腹を立てながらリビングへ行く。 ジュースを飲んで一息つく。よくテレビとかでやってるおっさんがビールを飲む感覚ってこんな感じなのかな、とかどうでもいいことを思う。 瞼が自然に落ちてくる。眠い。 ここの所ずっと忙しかったから疲れが溜まってるんだろう。シャワーを浴びて、少し寝よう。 脱衣所に行って服を脱ぐ。鏡に私の身体が映る。 まあ、綺麗なんだろう。読モやれてるし、クラスのあのダサい男子どもにもチヤホヤされるし。 それに比べてあいつは……。あ、やめとこう。あたしとあいつを比べるなんていくらなんでも可哀想だ。 それにしても、本当にあいつと血が繋がっているのかなと思うぐらい似ていない。 ふあ、とあくびが出た。さっさと浴びて寝よう。 間抜けに開いた口を手で押さえながら、磨りガラスのドアを押した。 「……まあ、本当は分かっているんだけどね。隠してるみたいだけど」 そうして、シャワーで汗を流して、しっかり水分補給をして、あたしは寝た。 コンコン、というドアをノックする音がしてあたしは目が覚めた。 タオルケットをのけてベッドからゆっくり起き上がりドアを少しだけ開く。あいつがいた。 「……何よ」 「メシ」 「……ん」 もうそんな時間か。思った以上に疲れが溜まってたみたい。 部屋から出てあいつの後に付いていく。 痩せていかにも弱っちそうな背中だ。 ……でも、私を助けてくれたヤツの背中だ。 なんで、こいつはあんなことをしたんだろう。あたしいつもあんな態度取ってんのに。やっぱり本当にシスコン? 「おい、階段下りる時にぼーっとしてんなよ。危ねーぞ」 「はあ? してないし。眼鏡買った方が良いんじゃないの?」 「……ったく、悪態しか付けねーのかお前は」 「うっさいわね、シスコン変態エロゲ脳」 そう言うと、あいつはため息を一つ付いて黙った。 晩ご飯を食べ終えて、お風呂に入った。いつもは一番風呂はお父さんなんだけど、なんか仕事の続きをさっと終わらせたいから後で入るらしい。 身体と髪を入念に洗い、手入れをしてから浴槽に浸かる。 熱めのお湯が身体の疲れをゆっくりとほぐしてくれる。エヴァで「お風呂は命の洗濯」っていうセリフが出てきたけど、まったくその通りだと思う。 そうやって安心していると、またあの考えが頭の中に浮かんだ。 何故あいつとの関係がこんな冷めた関係になったのか。 どうでもいい、と考えを吹き飛ばそうとするけれど、頭の中にへばり付いて取れない。 ……あいつが最近、優しいせいだ。 あいつとあたしの仲がおかしくなったのは、多分、あいつの弱さのせい。 ……こんなこと自分で言うのは自信過剰で嫌だけど、あたしに対しての劣等感。 あたしが何度も何度もお父さんやお母さんに褒めらて、一緒にあたしを褒めてる時あいつの顔は今思えばどこか寂しそうだったと思う。 段々と少しずつあいつはあたしよりもあの幼馴染と一緒に居るようになった。私はそれが嫌で、もっと目立てば、もっといい子になればきっとお兄ちゃんはまたあたしと遊んでくれる。そう考えてあたしはもっといろんなことを頑張った。 学校の勉強に限らず、絵のコンテストや、読書感想文コンテスト、その他にも色々賞を貰った。その度あたしはそれをあいつに報告した。そうすれば遊んでくれると思っていた。構ってくれると思っていた。 でも違った。まあ、当たり前だと言えば当たり前。嫌味みたいに感じてたんだろう。 私が嬉しそうに報告する度、あいつはあたしの頭を撫でて、幼馴染と遊びに行った。 でも、それでもあいつはそこまで私をほったらかしにはしなかった。遊んでと言えば遊んでくれたし、向こうからもあたしを構ってくれる時もあった。嫌なことがあると慰めてくれた。 でもある日それが決定的に変わった。あいつが中学に上がって暫く経った頃だ。 これはあいつのせいでもなんでもないと思う。しいて言えば、お父さんとお母さんの管理不足と注意不足。 知ってしまったんだ、あいつが。 自分は、お父さんと、お母さんと、あたしと。 血が繋がっていないって。 結果を出したらしっかり褒める、というお父さんの方針から、結果を出していたあたしはよく褒められた。 ……あいつはなかなかそういう訳にもいかず、あまり結果を出せず褒めて貰うことも少なかった。 なんであいつばっかり、とか思ったんだろう。まあ自分のせいなんだけど。 でも、血が繋がっていないとなると話は別。あいつはこう考えたんだと思う。 血が繋がっていないからか、って。本当はそんなことが理由じゃないんだけど、そう考えてしまうのも仕方がないと思う。 血が繋がっていないという事をどこからか知った翌日、あいつは部屋に引き篭もった。学校にも行かず、あの幼馴染とも遊ばず。 お父さんが出て来いと怒鳴っても、お母さんが泣いても、あいつは部屋っていう殻にずっと引き篭もった。 あたしは心配だから何度もあいつの部屋に行くんだけど怒鳴られて、泣いた。 それで、一週間ぐらい経ってからかな。お父さんにあいつが部屋から引きずり出されて、車に乗せられてドライブにいったんだ。 何か色々話をしたんだと思う。それからあいつは学校に行くようになった。 元通りになったとあたしは思った。 でもあいつは、それからあたしとより一層距離を置いた。お父さんに注意されて、叱られて、殴られても、かたくなに。 あたしもそうなると意地になって、あいつを嫌った。なんであいつがあたしに距離を置こうとしてるのかも分からなかったし、もうあたしも お兄ちゃんお兄ちゃんなんてその頃はもう言ってなかった。 それからもう無視、無関心の関係に。お互い嫌い合った。目も合わさなかった。 それで、去年。お父さんが珍しく酔っ払って、そのことを母さんに呟いていたのをたまたま聞いて、あたしはなんであいつがあんな風になったのかを知った。 でも、あたしは関係を修復しようとは思わなかった。 ……あいつの弱さを認めてあげられなかった。 あたしが小さい頃、あいつはあたしが虐められていると直ぐ飛んできてくれて助けてくれた。 なんでも出来て、いつも褒めて貰って、本当は嫉ましい妹なのに。 苦しい時は、いつも助けてくれた。 でもあたしは、そうできなかった。認められなかった。 それはあたしの弱さだと思う。今は、そう思える。 ……あいつとの関係を修復したい、とも思う。 何で今さらそう思うんだろう。ああ、そうだ。多分。 あいつが最近、お兄ちゃんっぽいからだ。 脱衣所でお母さんが用意してくれたパジャマを着て、自分の部屋に向かう。 階段を上って、廊下の奥にあるあたしの部屋のドアノブに手を掛けた。 でも、あたしはそのドアノブを捻らなかった。 あたしは、その隣のあいつの部屋のドアノブを捻った。……長いことお風呂に浸かっていたからのぼせてしまったんだろう。 あいつの部屋は電気がついていなくて、薄暗かった。寝ているんだろう。気付いて起きてくる様子もない。 するり、と気付かれないように体をあいつの部屋の中に滑り込ませる。 ドアを後ろ手で閉める。廊下の明かりがドアに区切られ入ってこなくなり、部屋が真っ暗になった。どきどきと心臓がうるさく鳴る。 ベッドにタオルケットを跳ね除けて寝ているあいつがいる。情けない寝顔。 あたしはゆっくりとあいつの上に四つん這いになる。まだ気付かない。 こんなことをするのはのぼせているから。いまのあたしはおかしい。 気付かれないように、あいつの傍で横になる。少しだけ、くっつく。 じゅん、とあたしの奥の方が熱くなった。 ……でも、もしかしたら、あの幼馴染ともうこういうことぐらいしているのかも知れない。 それはとても自然なこと。 だってあいつが苦しい時にいつも傍にいたのはあの幼馴染だ。 あの幼馴染ともあいつは距離を取ろうとしていたことをあたしは知ってる。 それでも、あの幼馴染はあいつの傍にいたんだ。 あいつの涙を受け止めたのはあの幼馴染だ。 あいつの痛みを受け止めたのはあの幼馴染だ。 ……だから、それはとてもとても自然なこと。 ぽろぽろと涙がこぼれる。 なんでこうなったんだろう。 なんであたしじゃないんだろう。 なんであたしはあいつの家族なのに、あいつの支えじゃないんだろう。 なんでこんなにも身体の距離は近いのに、あいつの存在はこんなにも遠いんだろう。 嗚咽が漏れる。とめなきゃ、おきちゃう。 必死に口を押さえる。でも、ダメだった。 嗚咽が漏れる。涙の勢いはより激しくなって、あいつのシャツを濡らした。 「……おい、どうした。なんでこんなとこにお前が居るんだ。泣いてるんだ。びっくりして心臓が止まりそうだ」 「……」 なんか柔らかい感触を感じて起きてみれば横で妹が俺に抱きついて泣いていた。 意味不明だ。 身体がガチガチに固まる。冷や汗が流れる。 「おい、黙ってちゃ分からないぞ。ほらお兄ちゃんに……」 「……うっさい、きもい」 泣き声まじりに妹がそう言う。 どうしよっかなーやっべえなー。いやだって前代未聞の大事件だぜこれ。 あの桐乃が俺に抱きついて泣いてるだと?あ、夢か。ぜってえ夢だ。 そう思ってお約束の頬引っ張りを試してみるが全然痛かった。 「……なにやってんのよ」 「いや、夢かなって」 「そんなわけないでしょ、バカ」 やばいやばいやばい、いろんな意味でヤバイ。 なんかいい匂いとかするし、胸が当たってくるし脚とかすげえ絡んでるし。ほっぺた引っ張り過ぎて痛えし。 「ねえ……」 「な、なんだよ」 「……あんたさ、地味子とこういうことしたことあんの?」 はあ? 「ねえよ! つうか誰ともしたこともねえよ! こんなびっくり事件お前が初めてだよ!」 そう言うと、妹は余計泣いた。俺にもっとすり寄ってきた。顔を俺の胸にうずめる。 なんか猫みたいだなこいつ。 なんかごめんだとかありがとうだとか、すっげえ小っちゃい声で呟いてる。 それを見て、なんだかこいつがすっげえ弱い存在に思えて、俺は頭をひたすら撫でてやった。 「……昔、よく頭撫でてもらった」 「……マジで? か、考えられねえな……」 「うん……」 沈黙。気まずい。 「……あー、マジでどうしたんだ、お前」 「……あのね」 妹が顔を上げる。……か、可愛いぞ。 「……最近、ありがとう。それからごめんね、いっつも」 「へ? お、おう……」 「……それだけ」 「そ、そうか」 「うん」 妹が少し笑って、また俺の胸に顔をうずめた。 ぎゅう、と桐乃が俺の身体を抱きしめる。 くらくらする。女の子の身体ってなんでこんないい匂いがするんだ。いや、桐乃だからか? や、やばい、寝起きで半勃起してたブツが完全体になろうとしてやがる! 「……なんか当たってるんですけど」 「し、仕方ねえだろ! 寝起きなんだから!」 そうだ、仕方がない。寝起きだし。こいつなんか色々柔らかいし。 「……抜いたげよっか」 「だだだだだダメ!ゼッタイ!」 そんな俺の言葉を無視するが如く桐乃が俺の股間に手を伸ばす。 俺の肉棒を服の上からぎこちなくさする。 「気持ちいい……?」 「バ、バカ! やめなさい!」 そう言って俺は桐乃を引き離し、跳ね起きた。 「も、もう寝なさい! ほら早く部屋に戻って……」 「嫌。一緒に寝る」 「い、一緒にって……ほら俺今から風呂入るし」 「待ってる」 「そ、そうか。じゃあいってくる」 そう言って俺は慌てて部屋を飛び出した。 なにがそうか、だバカ! ダメだろうが! 階段を駆け下り、脱衣所に慌てて入り、服を脱ぐ。 まあとりあえず風呂だ。そしてあいつをなんとか説得して部屋に返して……。 磨りガラスのドアを開け、風呂場に入る。 だんだんと俺のブツも心も落ち着いてきて冷静な判断を取れるようになってきた。 まあ、あいつにも色々あるんだろう。一応中二の女の子なんだし。 そ、それにしても……抜いてあげよっかだと……? い、いや、このことについて考えるのはやめよう。エレクチオンしそうだ。 熱いシャワーを浴びてそんな俺のピンク色の考えを吹き飛ばそうとシャワーを全開にする。 冷水が一気に身体を打ち、俺は奇声を上げた。 「そっか……あたしが初めてか……」 ふふっ、とあいつの枕を抱いて笑う。 今日は昔みたいにあいつに甘えまくって、あいつを慌てふためかせてやろう。 さ、流石に「あれ」はやりすぎだったけど……。 「これで多分、距離縮まったよね……?」 あいつの部屋の窓から夜空を見上げる。 まんまるとした月が、綺麗だった。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/334.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1291723688/382-387 大介がオタク化と聞いてサクッと京介と桐乃で小ネタ 「ふぁああぁ……」 生あくびを噛みしめきれないまま、俺は階段を下りた。 今日は日曜だ。ゆっくり寝ていたい。特に遅くまでエロゲをしていた夜は。 しかし俺の三大欲求の序列では睡眠欲は第三位であったらしい。 そして第一位に輝いたのは食欲。 食事の時間に現れないとメシ抜きという高坂家ルールに生きる身としては 性欲も睡眠欲もマウントポジションで押さえつけて、胃袋を満たしてやらなきゃならんのだ。 「……おはy……」 リビングに入った俺は目を疑ったね。 「挨拶はどうした?」 「どうした?はコッチの台詞だ、親父……」 アンタ何読んでるんですか? スゲー真剣な表情で、その手に持っているカラフルな装丁の お目々大きな二次元(いや、本だから二次元で当たり前だけどね!?)の女の子が描かれている その本はどうみても…… 「ラノベじゃねーか!!!」 「何を言っているのかわからんが、これはライトノベルというものらしい」 いや、略語だからね。ライトノベル、略してラノベだから。 やべーよ、マジやべー。俺寝ている間にパラレルワールドに来ちまったのか? 何で親父がラノベ読んでるんだよ? だってウチの親父だよ? ガモウノカーチャンノサイフノヒモぐらいお堅い警察官の親父が 桐乃の趣味を即座に全否定して処分しようとしていた人が なんでラノベ読んでるの? え? 死ぬの? 俺? 「桐乃に借りた」 「桐乃が?」 「ああ。俺も桐乃の趣味を把握するのに必要だと思ってな」 いや、いいよ親父……そんなのは俺一人で充分だから、親父は親父のままで居てくれ…… 万が一、億が一でも、親父がエロゲーやり始めたら俺もう現実を直視できないからね? 親子三人そろってエロゲーマーとか、どんだけ業が深い一族なんだよって。 「ふむ…」 ポムっと本を閉じた親父は、相変わらず真剣な表情で感想を語り始めた。 「いささか文章量が少ないと感じたが……」 「まあ中高校生向けの小説だからな」 「話はよくできているし、多少の言葉の乱れや片仮名の多さは気になるが 子供が読んで害悪になる類の本ではないな。これならば問題あるまい」 ラノベに関しては俺は専門外だが、親父が持ってるヤツはアニメ化されてるので内容は知っている。 大人が見て当たり障りない内容なのは確かだし、桐乃だってそういう作品を選んで貸したんだと思う。 「桐乃に言ってやれよ、きっと喜ぶぜ。まあ、その作品の桐乃のお気に入りのキャラは3巻から出てくるんだけどな」 「ほう。では2巻を桐乃から借りてみるか」 ちょっと待て親父。ハマってるんじゃないだろうな!? そんなゲンナリとした朝で始まった休日ではあったが 昼頃にラブリーマイエンジェルあやせが遊びに来たことで俺のテンションは一気に有頂天になった。 別にあやせが俺に会いに来たワケじゃないけどね。 例によって桐乃によって俺は自室に押し込められたワケだが ふふふ……甘いぜ、桐乃。ウチの部屋の壁は薄いのだ。 あやせタンの生ボイスを堪能するには、俺の部屋はむしろベストポジションなのだ!! 「ああ…酷いよ桐乃……私、初めてなのに……」 ちょっと!? 何やってるんですか、ウチの妹様は!? もう救いようのないオタク道に突っ走ってるのは知ってましたがね。 まりあ†ほりっくよろしく百合百合大好きな汚物になってるなんてお兄さん聞いてませんよ?! 「あやせ! どうせなら俺に初めてをくれ!!」 何時もは桐乃によって開かれる(そして俺の顔が叩かれる)、妹の部屋の扉を乱暴に引く。 珍しいことに鍵はかかってなかったようだ。 さらに珍しいことに 「あやせがゲームしている……?」 「な、な、な、何勝手にあたしの部屋に入ってきてんのよ!」 「はうっ?!」 桐乃が投げたコントローラーが、俺のジョイスティックを16連打した。 「んで? 桐乃に進められてゲームをやってみたと」 「いかがわしいゲームじゃなくて…えい!…小学生でも買える…えい!…ゲームだと聞きましたので……えい!」 ボタン押す度に身体が揺れているあやせ。何この可愛い生き物。 「でも酷いでんすよ、桐乃ったら。初めての私に全然手加減してくれなくて」 普段沙織や黒猫に負けまくってるからな。 「あやせにこんなにやられてるなんて、やっぱアンタ弱いよねー」 いやあ、流石に俺は大人だから手加減しているだけだけどねー 確かに俺の実力は(やりこみ度の関係で)桐乃以下ではあるが、初心者に負ける程じゃない。 あやせは典型的なガチャガチャタイプだし。 「やった、勝ちました! 見てた桐乃!!」 「うわ、兄貴ダッサ」 ……落ち着け、俺はワザと負けたんだ。最初から負ける予定なんだから 桐乃に何を言われても受け流して当然であって、ここでキレるのはおかしい、そうだな、俺? 「ふー…俺、下からジュース持ってくるわ」 「OK。じゃあやせ、次あたしとやろ」 「ふっふっふ…今度は負けないよ、桐乃」 「……しゃーねぇ、俺はウーロン茶でいいか」 2つ目のコップで冷蔵庫にあったオレンジジュースが切れたので、俺は代用品を探した。 「しかし、意外とハマってたな」 桐乃があやせに薦めゲームは確かに全年齢対応だし、元がエロゲーという訳でもない。 だが、普通の格闘ゲームかと言われれば、ユーザーはかなり絞られる。 なぜなら使用キャラは全て可愛い女の子だからだ。 我が妹ながら、中々狡猾なソフトを薦めやがったもんだ。 「親父といい、あやせといい……」 桐乃の周りに桐乃の趣味の理解者が増えるのは、桐乃にとって良いことなんだろう。 でも、本当に幸運なコトは、そうまでして桐乃を理解してやろうって人間がこんなにいることだって アイツは分かってるんのかねぇ……まあ、俺が気にすることじゃねぇか。 俺はポッキーを探し出してジュースと一緒にお盆に載せると、階段を登り始めた。 ま、それが2ヶ月ぐらい前の話だよ。 それで、俺は学校の帰り道、参考書でも買おうかって立ち寄った本屋で 桐乃が買っていたラノベの最新刊を見つけたんだ。 ソイツを参考書と一緒に買って帰るぐらい、別に普通だよな? それから麻奈実ン家に寄って勉強して、家に帰った。 玄関には親父の靴があって、今日は割と早く帰ってきたな、なんて思ったりした。 リビングから桐乃の声が聞こえたんで、俺は鞄の中からラノベの入った紙袋を取り出したのさ。 後で部屋で渡してもいいんだけどよ、早く桐乃の喜ぶ顔がみてぇじゃん? いやシスコンじゃないぜ? これは高坂京介が最初から持ち合わせている優しさってやつだ。 まあ最近は親父も桐乃の趣味に理解あるし リビングで渡して、そこで袋の中身空けてもイヤな顔はされないだろうさ。 「お父さん、最新巻買ってきてくれたの?!」 「ああ、偶々書店で見かけてな」 「ありがとう! 嬉しい! お父さんに買って貰えるなんて!」 俺は紙袋を鞄の中に戻した。 夕飯食った俺はさっさと自分の部屋に上がった。 桐乃と親父はなんか話が弾んでいるみたいだったし かといって俺とお袋で仲良くお話しましょうって間柄でもねぇ。 お袋は飯の片付けもあるだろうしな。 本屋で買ってきた漫画雑誌を捲っていると、あのラノベのコミカライズが連載していた。 って言っても、アニメ化に合わせた進行速度だから最新の原作と比べて話の進み度合いが違う。 トントントン…と足音が聞こえた。桐乃が上がってきたらしい。 それから漫画を読み終わる頃には、薄い壁から「ぎゃあ!」だの「やった!」だの 黄色い声が聞こえてくるようになったもんだから、俺のイライラが最強最速のウルトラマンマックス。 「うるせーよ、桐乃!」 思わず駆け込んだ俺に 「はあ? アンタの方がウルサイし」 桐乃は悪びれもせずに答えやがった。 「確かにちょっとはしゃいじゃったかも知れないけどさ、 こんぐらいならアンタだって出す音じゃん? なんでキレてんのよ?」 「うるせーもんはうるせーんだよ!」 「ウザッ…わけわかんないし?」 妙なもんで、キレればキレるほど、案外俺は冷静になっていった。 桐乃の言い分は(珍しく)正しい……と思う。 確かに桐乃の声は大きかったが、いつもなら聞き流している程度の音量だ。 それにイラついたのは……なんでか知らないが、俺の虫の居所が悪かった つまり八つ当たりなんじゃねーかって思い始めたんだ。 けど、今更それを認めて引き下がるってのも、なぁ……なんてつまんねー意地を考えていた時、 パソコンのディスプレイにはゲーム画面に気づいた。 そうか、桐乃のヤツゲームしてて熱中してたのか、なんて格闘ゲームのスコアを見ると 桐乃が勝ち越している。桐乃がゲームして勝ち越す? 有り得ないだろ? だって唯一の桐乃が勝てる相手である俺は、ずっと隣で漫画読んでたんだぜ? 「……誰とゲームしてたんだ?」 「は? あやせとだけど?」 ……ああそうかい、親父といいあやせといい、随分と順調にオタク化推進させているんだな。 ま、それを身を持って体験した俺が言う台詞じゃねーかも知れないけどよ。 「ねえ、アンタ、何怒ってんの?」 「……お前がうるさいからだろ」 「そうじゃなくて、晩ご飯の時からずっとイライラしてたじゃん」 「してねーよ」 「嘘。してた」 はあ? なんでコイツ断言できんの? お前は俺ですか?ってんだ。 夕飯の時からイライラしてた? へっ! してたかもな。 コイツの為にラノベ買ったけど、無駄になったんだからよ。 俺はコイツと違ってモデルの仕事もねーし、バイトもしてないから 懐事情はそんなに豊かじゃないんだ。ラノベ一冊でもMOTTAINAIの精神が働きますよ、そりゃね! 「なんだ、結局お前のせいかよ」 「はぁ? あたしが何したってのよ?」 「なんでもねーよ。ちょっと金が無駄になっただけだ」 「どういう意味よ? っていうか、いいわよ、何円損したかわかんないけど あたしのせいだってんなら、払ってあげる。このままだと気分悪いし」 「馬鹿か。妹に金たかれるかよ」 「あんたが言い出したんじゃない!」 「……んじゃ、金じゃなくて時間にしてくれよ。お前、あやせとゲームできるようになったんだろ? じゃあ俺とゲームする時間は必要ねぇよな? もう誘わないでくれよ、それでいいな?」 「なっ……」 桐乃が何か言おうとするのを遮って、俺は自室に戻った。 これ以上一緒にいたら、もっと酷いことを口走ってしまいそうな、そんな気がしたからだ。 「……酷いことってなんだよ」 不貞寝しながら呟いてみる。 あのまま口論を続けて……俺にエロゲ渡すなとか、アキバに連れて行くな、とかか? それって酷いことか? 別にそれで何か変わる訳じゃない。 「……変わるかもな」 結局、冷え切っていた兄妹の関係を修復したのは、 俺と桐乃の間に立ってくれたのは桐乃のオタク関連だった。 今はそれだけじゃない、とは思う。 俺と桐乃の間にあるオタク関係を断ち切っても、昔みたいにはならないだろう。理屈なら。 いや、あの妹様の性格ならわかんねーかもな。 ただ、確実に接点は減るだろう。 ……それは、イヤだった。 鉛のように重たい空気を、人の気配が砕いた。 「……兄貴、寝てるの?」 寝れる訳がない。けど、起きて顔を合わすのはもっと辛い。 俺は寝たふりを決め込んだ。 「……何怒ってるのかわかんないよ、兄貴」 ベットが揺れた。 いつものように跨られて、はたき起こされるということはないみたいだ。 ……そう考えると、俺酷い目にあってたんだな。 「次からはうるさくしないよう気をつけるからさ……」 実はこれ夢なんじゃね? 素直に謝ってるんですけど!? 桐乃が謝ってるんですけど!? 「……でも機嫌悪いのって絶対それだけじゃないじゃん。 何年兄妹やってると思ってんの。それぐらいわかるんだからさー…」 桐乃の声のトーンが小さくなる。 「……もう一緒に遊ばないとか、言わないでよ。 あたしが原因なら、治すからさ。また、あたしを置いていかないで……」 「置いていかれてるのはコッチだってーの」 目を瞑っていても、俺の言葉に桐乃の驚いた顔が目蓋に浮かぶ。 そんで次は…… 「お、起きてたならそういいなさいよね! きもっ!」 って、形のいい眉をつり上げながら俺を殴… 「ぐぼぉっ!?」 け、蹴りやがった……しかも脇腹!? 「ちょ…待て……せめて最後まで言わせろ……」 「はあぁ? 自分は寝たふりしてやってきた妹を襲うつもりでしたって?」 「んなコトするか!」 っていうか、その鞄はマジやめて下さい。まだ中身入ってますから。 それで殴られたら、その中の教科書の内容、俺の脳細胞から飛んでいっちゃうから! 「……何よ、コレ」 「あ……」 鞄の中から、サイズの小さいラノベがこぼれ落ちる。 「……アンタも随分オタクになったわよね」 「違うわ。それはお前に買ってきたんだっての!」 「え…?」 「あ……」 くそっ…俺が自分で買ったことにすりゃ、丸く収まったのに! 「い、今なんて……」 「だ、だから……偶々本屋で見つけたからよ、お前に買ってやろうかって」 そしたら桐乃は暫く本と俺を交互に見つめていると、その本を胸に抱えて言いやがったよ。 「あ、ありがと……」 「あ、ありがとってなぁ……そ、それはもう持ってるだろ。親父が買ってきたやつ」 「べ、別にお父さんが買ってきたからって、これ貰っちゃいけないことないし。 っていうかあたしも今日自分で買ってきてたし」 え……? た、確かによく考えれば、桐乃が最新刊のチェックをしてないなんてコトはないよな。 「じゃあお前、その巻3冊も持ってることになるんだけど……」 「だから? 保存用と観賞用と布教用でちょうどいいじゃん」 そういうもんなのか? 「な、なんだ。アンタ、これ渡せなくてイライラしてたんだ…… ふ、ふ~ん……妹にプレゼントできなくてイライラするなんて、ガキね。 ガキの上にシスコンとか、もう救いようがない感じ?」 「うるせー。シスコンなのは否定しねぇが、イライラの理由はそれじゃねぇ」 といっても、お前に言われて気づいたんだけどな、理由。 「お前が親父やあやせと仲良くオタ話してるからだ」 「は?」 「わかってるんだよ! それが悪いことじゃねえってのはさ! 親父もあやせも普通の人間だ! そういう人間じゃねえよ。 それがお前の話を理解して、しかも一緒に会話したり遊んだりするようになった。 アイツらだって、それが悪い気分じゃねえってのは俺が保証してやる。俺がそうだったからな!」 俺は桐乃に趣味をカミングアウトされて、桐乃にエロゲやらなんやら押し付けられて 興味なかったか?と言われればその通りだった。 けど、そんなことより桐乃と接点ができて嬉しかったんだよ。 桐乃と共通の話題ができて、嬉しかったんだっつーの! 「お前のせいでオタクになったのは俺だけだったじゃねぇか。黒猫と沙織は元からオタクだったしよ。 お前がアレコレ薦めてきてよ、中には面白いのもあったし それに何より、お前って人間が少しわかった気がした。 下地がない分、お前は一生懸命俺に構ってくれたしな。 そうだよ、俺はお前に構って欲しかったんだよ。兄貴なのに、俺は妹に構って欲しかった」 「そ、それで、あたしがお父さんやあやせにかかりっきりになってて、寂しかったっての?」 「ああ、多分そういうコトだ。だから俺が機嫌悪かったのはお前のせいじゃなくて俺のせいだし そいつは理屈も何もない、ただの我が侭だ。ガキ以下さ」 「……馬鹿じゃん」 「ああ、馬鹿だよ。とんでもねー馬鹿だ」 さらに言えばシスコン失格だろ。 妹がいい風に向かってるのを、独占欲で認めたくねーってのはさ。 「……あ、あのさ」 「なんだよ」 「あ、あたしから見たらアンタなんてまだまだオタクじゃないから。 あたしの授業無しにオタクとして独り立ちできるとおもったら大間違いだからね!」 「桐乃……」 「だ、だからさ、い、今からゲームするから! いい? 最低アタシに勝ち越すぐらいじゃないと認めないから」 へ……そりゃズルいぜ。そんな条件じゃ、俺はずっと桐乃に勝てないじゃねぇか。 「アンタがハンパなオタクになったら、あたしの教育能力の問題になるんだからね。 だから……あたしと同じぐらいになるまで、ちゃんと面倒みるんだから。 まーアンタってばシスコンだし、本望でしょ? お父さんやあやせだったらそこまではしないんだから。わ、わかった?」 こんなコト言われて喜んでるんだぜ、俺。 ったく本当に……どうしようもないシスコンのオタク見習いだよな。 「ホラ、さっさと準備する」 「はいはい」 「何? イヤなの?」 「トンデモゴザイマセン嬉しいです桐乃様」 あいつが笑った。 結局、俺はこの笑顔を捨てられないって訳だ おわり
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/602.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1330012485/329-341 わたしが、お兄さん‥‥‥、もとい、親友である桐乃のお兄さんが勉強のために 借りたアパートに幾度となく通い詰めて早数週間。 その間には色んなことがあったけど‥‥‥、お兄さんの周りは女の人が多かった。 桐乃と顔を合わせるのは別におかしくはない。だって二人は兄妹なのだから。 桐乃がお兄さんのアパートに居たって何も不思議じゃないし。 麻奈実お姉さんがアパートに来たのも、まあ、おかしくはない。 お兄さんとは幼馴染みだというし、あれくらいは‥‥‥おかしくないよね。 黒猫さん―――。一時はどうなるかと思ったけど、お互いに解り合えた、と思う。 お兄さんってば、あんな口調の人とよく付き合っていたものね。 わたしも仲良くしたいとは思うけど、先のことなんてわたしにも解らない。 沙織さん―――。あんな綺麗な人、モデルにもそうは居ない。 でもお兄さんは、沙織さんにはあまり興味がないようだった。 どうしてだろう。でも、わたしはちょっと安心した。どうしてかな。うふふ。 加奈子―――。なんであの娘が? お兄さんに加奈子のお目付役をお願いしたのは、確かにわたしだけど、 あの展開はないんじゃないの? まったくもう。 沙也佳ちゃん―――。ちょっと驚いちゃったけど、悪い娘じゃないと思う。 でもお兄さんが居なかったら、わたしだけじゃどうなっていたかなあ? でも、これからもわたしのことを応援して欲しい。 日向ちゃん―――。あのマセガ、いや、ちょっとおませで可愛らしい娘。 お兄さんはロリコンじゃない、と思うけど、大丈夫‥‥‥よね? それにしても、黒猫さんにもあんな頃があったのかなあ? そうそう。お兄さんはテストで見事にA判定を取ったので、お父様との約束通り、 アパートを引き払ってご実家に帰るらしい。片付け物のお手伝いに来たけど、 あまり荷物も無いから、代わりにわたしが料理を作ることになった。 お兄さんが材料の買い出しに行っている間、わたしはわたしにできることを。 お兄さんの部屋に出入りできるのもあと少ししかないから‥‥‥。 軽く片付け物とか、掃除とか、色々やっていると‥‥‥部屋のドアが開いた。 ドアから射し込む外の光でシルエットになっている男の人は、お兄さんだ。 「ただいま」 「お帰りなさい」 い、いやだ!! いつの間にか、ふ、ふ、夫婦みたい!! 「どうした、あやせ?」 「な、何でもありません! あ、お部屋を掃除しました」 「おう、ありがとうな。買い出しはこれでよかったのか?」 お兄さんが買ってきてくれた食材を使って、早速、手料理を作ることに。 最近わたし、料理を勉強しているんですよ! 「材料を買ってきてもらって聞くのもなんですが、何を食べたいですか?」 「あ・や・せ♪」 ドスッ――― 「じ、じょ、冗談だって、あやせサン‥‥‥」 鳩尾を抑えながらお兄さんは苦しそうに呟いた。 「う、うぐぐ‥‥‥ん? ああ、部屋、片付けてくれたんだ?」 「ええ、ほんの少しですけど」 「ちょっと散らかってたもんな。ありがとな‥‥‥んん!?」 お礼を言い終わったお兄さんが動揺している。 「あのー、あやせサン?」 「何ですか?」 「その、あのー、つまりだな‥‥‥これ‥‥‥」 お兄さんが指差した先には‥‥‥わたしの‥‥‥下着‥‥‥。 な、な、な! なんてこと!! わたしの最高のお気に入りなのに!!! そう思った途端、口よりも先に足と手が先に動いた。 ぱあああああん 「ぶおっ!!」 「ブチ殺されたいんですか!? この変態!!」 お兄さんの頬にわたしの平手が炸裂した。そして自分でも理不尽だと思う罵声。 「なんかすげえ、既視感があるんだけど」 お兄さんは、今度は頬を抑えながら、意味のわからないことを呟く。 もう泣きそう。折角のわたしの最高のお気に入りだというのに。本当にもうっ!! 「あの、もうひとついいですか、あやせサン?」 今度はお兄さんが表情を曇らせながら、わたしに訊く。 「何ですか?」 「あ、いや、なんでもない」 動揺してる。動揺してる。 「あのさ‥‥‥見た?」 「何をですか?」 「あ、いや‥‥‥この辺にあったモノ、どこに行ったのかなあ?って思って」 「それなら、ここに纏めておきましたので、はい―――」 「取らんでいい!!」 わたしが片付けたモノを取った瞬間、お兄さんは大慌てでわたしを制した。 お兄さんに手を払われた格好になったわたしが体勢を崩したせいで、 片付けモノの中から何かが落ちた。 ―――おしかけ妹妻~禁断の二人暮らし~ それは、見るからにいかがわしい感じのゲーム。 「これって‥‥‥お兄さん?」 「ちょ、お前!」 「きゃっ!」 「危ねえ!」 ドタッ――― 慌てたお兄さんと縺れ合って、わたしがお兄さんに押し倒されたような格好に。 ワンピースが胸元までたくし上げられ、ブラジャー越しにお兄さんの掌の温もり。 わたしの太股の間にはお兄さんの‥‥‥腰が‥‥‥。 まるで、わたしが初めてお兄さんと会った日に目撃したあの光景と同じ。 「お、お、お兄さ‥‥‥」 「あ、あ、あや‥‥‥」 わたしもお兄さんも声にならない声しか出ない。 まさかこんな‥‥‥こんな、想定外な‥‥‥。 あまりのことに、『変態!!』とか『ブチ殺します!!』の言葉が出ない。 「こ、これは事故だ! お前だってわかるだろう!?」 今まで見たことないほどに大汗をかいて弁解するお兄さんが わたしから離れようと、わたしの胸に当てた手に力を入れて体を起こした。 「ひゃっ! い、今、わたしの胸を揉みましたね!?」 「バカ言え! そんなことするわけ無いだろ!!」 パシャッ――― 「ん? 何だ? 今の音」 「話を逸らさないで下さい! ブチ殺されたいんですか!?」 「いや、なんか、カメラのシャッターの音が聞こえたような」 「そ、そんな言い逃れが通用すると思っているんですか?」 「いや! 確かに聞こえたぞ」 お兄さんが怪訝な顔をして、部屋の中を見回す。 そして部屋の一点―――バスルームのドアに目が釘付けになった。 「そこかあああああ!」 お兄さんが浴室のドアを開けると、日向ちゃん―――黒猫さんの妹が居た。 手にはデジタルカメラ。そして悪ぶる様子もなく、 「や、やほー、高坂くーん、超絶好調じゃーん」 「‥‥‥ここで何をやっているんだ?」 「えっとねー、“黒天使”さまの“使い魔”でーっす」 「“堕天聖”だろ、いい加減覚えろよ。それに第一、そのカメラは何だ?」 「ああ、コレ? けってーてき瞬間を撮れって命令されたんだよねー」 「く、黒猫のヤツ、自分の妹に何をさせやがる! お前も言いなりになるなよ!」 「だってえ、『いい? わたしの命令に従わないと地獄に落ちるわよ』って 脅されたんだもん」 「呆れたもんだ」 がっくり肩を落としているお兄さんは、日向ちゃんに向き直って続ける。 「まさか、そのカメラでさっきの場面を!?」 「うん。撮ったよ」 「それ、黒猫に見せるつもりか?」 「ふふーん、どうしようかなあー!?」 「そのカメラ、よこせ!」 「きゃー! 高坂くんにレイプされるー! おまわりさーん!!」」 「お前、俺の世間体を人質に、なんてことを言いやがる!」 「お、お兄さん!? わたしばかりか日向ちゃんまでも!? この変態!!」 「あやせ! お前一体何を見ていたんだよ!?」 「それにしてもこんなことをやらせるなんて、まるで悪魔じゃないか!」 お兄さんはとても呆れた様子だ。 「うん‥‥‥確かにアレは悪魔だと思う。とりあえずこの写真は―――」 「そこまでです―――小娘」 「ぐ、ぐ、ぐえええ」 「おい、何やってんだよ」 「ちょっとお、マジ苦しい!! 聞いてな‥‥‥ひっ!!」 日向ちゃんがわたしと目が合った瞬間、顔が硬直し、目は涙目になっていた。 そんなにわたしって怖いのかなあ? 「あやせ、やり過ぎだ! 殺す気かよ!?」 わたしが日向ちゃんを殺すだなんて。 いやですね、お兄さん。そんなことするわけないじゃないですか。 「これは消させてもらいます」 わたしは咽せている日向ちゃんからカメラを取り上げ、速攻で画像データを消す。 「ああー、折角撮ったのにい!」 「すげえな、あやせ。よくそんな早業で画像消せるな」 「このくらい普通です。慣れてますから」 「ああ、そうなんだ‥‥‥」 「ええ」 お兄さん。そんなに顔を見つめられたら、わたし恥ずかしいじゃないですか。 まあ、本当に最後の最後まで色々あったけど、なんとかお兄さんに料理を 作ってあげることもできたし、日向ちゃんにはおとなしく帰ってもらった。 「じゃあ、お兄さん。わたしもこれで失礼します」 「おう、ありがとうな。まっすぐ帰るんだろ? 送っていくよ」 「いえ、友達と会うことになってますので、ここで失礼します」 「そうか。じゃあな」 お兄さんのアパートを後にした。 あ、もうこんな時間。待ち合わせのお店に行かなきゃ。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ わたしは、待ち合わせのお店に向かった。 お店に入り、待ち人を探して店内を見渡していると聞き覚えのある声。 「やほー、こっちこっちー」 声の方を見るとテーブルを一人で占領した日向ちゃんが手を振っている。 「ちょっとー、遅いよー! ひょっとして高坂くんとあの続きを‥‥‥?」 「そんなこと、ありません!」 「うっわ! 全否定? まあいいけどさ」 相変わらずのマセガ、いや、おませな娘ね。 「あ! さっきのアレ、聞いてないよ! 超、苦しかったし!」 日向ちゃんは、わたしのネック・ハンギング・ツリーに不満げな様子。 お兄さんに悟られないためにも、あの場面では仕方なかったのよ。 「それで‥‥‥例のモノは?」 「はい、コレね」 日向ちゃんはポケットからデジタルカメラを取り出し、わたしに手渡した。 中身を確認するとそこには、半裸で床に倒れたわたしに覆い被さるお兄さんの姿。 そう。あの瞬間を切り取った写真だ。 「すげー。どう見ても高坂くんに襲われてるし」 「よく撮れてますね」 「でしょ? でしょー? わたしカメラマンの素質があったりしてー」 とりあえず、当初の目的は達成かな。 「でも最初は困ったよね。てっきり高坂くん、あの下着をくんかくんかしたり、 頭に被ったりすると思ってたのに、全然しないんだもん」 「お兄さんはそんな変態みたいな事しません! 紳士なんですよ!!」 「へー、もしかして変態紳士ってやつ? すっごーい」 折角用意してきたお気に入りの下着なのに、お兄さんに通用しなかったのは 想定外だった。お兄さんはわたしの下着でそういうことを絶対すると思って、 その決定的瞬間を日向ちゃんに撮ってもらう予定だったのに。 でも結果的に予定以上の成果があったから、結果オーライかも。 「とりあえず約束通り、好きなものを注文して下さい」 「じゃあ、ミックスパフェの5段重ねトッピング!」 まったく、体型のことを気にしない小学生って最高ね。 「でもさ、高坂くんがカメラの音に気付かなかったらどうなったのかなあ?」 「それはわたしにもわかりません。音に気付くなんて想定外でしたから」 「もしかして、あのまま、あたしの目の前でエッチを―――」 「しません!!」 まったくもう。そんなことあるわけ無いじゃないですか。 お兄さんは理性的なんですよ。せいぜい、こんな感じでしょ。 『あやせ、ごめん。大丈夫か?』 『ええ。大丈夫です‥‥‥きゃっ! いやだ!』 わたしは乱れた服から覗く躯を隠そうと、身を捩らせながら両手で隠す。 『こっちを見ないで下さい!』 『わ、悪い!』 ―――お兄さんに背を向け、服を整えていると、わたしの両肩にお兄さんの手が。 「ひゃっ!?」 『あやせ‥‥‥』 「い、いやだあ! 何をするんですか、お兄さん!?」 『きれいだよ、あやせ』 「そ、そんな‥‥‥きゃっ!」 ―――お兄さんはわたしを軽々と抱き上げ、布団にわたしを横たえた。 『あやせ‥‥‥』 「お兄さん‥‥‥」 ―――お兄さんの両手がわたしの躯を包む衣を剥いでいく。 「お兄さん‥‥‥ブチ殺し‥‥‥ま‥‥‥ああ‥‥‥」 「こうして、黒髪の美少女は高坂くんに、しんしょくされてしまったのです」 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥!!!!!!!!! 「そこまでです―――小娘」 「ぐ、ぐ、ぐえええ」 今日二回目のネック・ハンギング・ツリー。 「ぢょ、ぢょっと、みんな見でるっで!」 日向ちゃんの言葉で我に返って周りを見渡すと、お店のお客さんの耳目を 集めていることに気付いた。 「まったくもう! どこからわたしの想像に割り込んだんですか!?」 「“お兄さんに背を向け、服を整えていると―――”からかな?」 「もう、信じられません!」 「ていうか、あたしの言葉に完全シンクロして、妄想ノリノリだったしぃ」 「く、くぅっ!」 さすが黒猫さんの妹だけありますね。もう限界です。 さて、一通りのプロットが片付いたところで、日向ちゃんを諭すことに。 「わかっているとは思いますけど、このことは誰にも秘密ですよ」 「でも、あたしってさ、口が軽いからどっかで喋っちゃうかも知れないよ」 「そんなことは許しません」 「どうしようかなー」 「‥‥‥いい? わたしの命令に従わないと、地獄に落ちるわよ」 ほんの、ほんのちょっとだけ、日向ちゃんを睨みつつ優しく諭してあげた。 日向ちゃんは半泣きの表情で呟く。 「“黒天使”どころか悪魔だし。第一、囮のカメラを用意するなんて普通じゃないよ」 「え? このくらい普通ですよ? お兄さんもカメラが二つあるとは思わないし」 「怖すぎい。ねえねえ、その写真、一体どうするの?」 「‥‥‥聞きたい?」 「ひいっ!!‥‥‥いや、聞きたくない」 「実は、この写真を‥‥‥」 「だから、聞きたくないっての!!」 さっきもそうだったけど、どうして日向ちゃんといい、ブリジットちゃんといい、 いきなり怯え出すのかしら? でもこれで、お兄さんの弱みも作ることができたし。 もし、わたしの涙で心がお兄さんの動かなかったときは、 この写真で‥‥‥うふふ。 『悪魔の使い』 【了】
https://w.atwiki.jp/ikendokoro/pages/318.html
マサ ◆masaPanJmw マサパンツ ◆masaPanJmw 620 マサパンツ ◆masaPanJmw 2008/03/13(木) 00 29 17 ID BqarUi3G0 くぱぁ 673 マサパンツ ◆masaPanJmw 2008/03/13(木) 00 38 57 ID BqarUi3G0 割れだから潰せ 86 . シスカ (19 / 19) [Game - 聖なるかな 沙月先輩ルート ハードモード 5章~] 「既読はスキップだお。」 732 マサパンツ ◆masaPanJmw 2008/03/13(木) 00 47 40 ID BqarUi3G0 利裕雅如く
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/115.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1257382677/655-656 俺は今現在ヤモリの如く壁に耳を引っ付けている あん? 何故かって? そんなの妹の部屋の音を聞くためにきまってるだろ。 変態? はん、なんとでも言えよ。 ラブリーマイエンジェルあやせたんのことだったら何だってやってやるぜ。 俺の行動力を嘗めるなよ? あやせ「桐乃、クリスマスの予定もう立ってる?」 桐乃「え~あやせ、き~早すぎ。まだ2ヶ月前だよ」 あやせたんはクリスマスをよっぽど楽しみにしているらしい 良いことを聞かせてもらった あやせ「だって桐乃去年はお兄さんとデートで一緒に遊べなかったじゃない」 桐乃「デ、デートって何であやせ知ってるの…ってデートじゃないつーの!!」 そういえば去年のクリスマスは‘妹空’の取材であいつに振り回されたっけ 今年は糞妹とでわなく、あやせたんと過ごしたいものだ うむ あやせ「確かに行き先が温泉ってデートって感じじゃないけど…」 んん? 何かこの話の流れやばくないか? 桐乃「温泉?私温泉なんていってないけど」あやせ「えっ?でも初詣での時、麻奈実お姉さんがラブホタルっていう温泉に……………………………………ラブホタル?」(←めっさ恐い顔) あっ俺、死亡フラグ…って俺もすっかりオタクになったな~ どたばた がちゃん ドタバタ バゴン! バゴン!! バゴン!!! その後、俺はあやせたんから鉄拳(ご褒美)をもらった。
https://w.atwiki.jp/psparchives/pages/326.html
とりあえず3周プレイ。怪談(?)+クローズドサークルのサウンドノベル。 スクリーンショットから既にC級の匂いを漂わせていたけどやっぱりC級。 「かまいたちの夜」「弟切草」のように、物語にどっぷり浸かるような面白さはちょっと…。 伏線がたっぷりとあるので、それらが一つずつ紐解かれていく面白さがウリ。 PSPで出来ることもあるし、アドベンチャーが好きなら買っていいかも。 以下システム周り。 一度通った選択肢は色の変化アリ。 ムービースキップは出来るが、既読スキップ、文章スキップは無し。 セーブはスロット一つにつき一つです。 ロード後は、「起床」「夕食後」といった場面の最初から読み直すことになります。 攻略サイトによると、エンディングは28個あるようです。 おまけが何故かいっぱいある。アーカイブス仕様でスクショ付。 -- (ななし) 2009-08-30 10 07 19 ドラゴンナイツグロリアスのセーブデータがあると、学校であった怖い話をプレイした人にとっては、にやりとできるおまけがある。 ただ、おまけはおまけなので、過度な期待はしないように、と付け加えておく。 -- (名無しさん) 2009-09-05 10 23 41 ドラゴンナイツグロリアスのセーブデータがあると、みられるおまけは、2週目以降ではないと見られないので注意。 -- (名無しさん) 2009-09-08 22 25 32 クリアー後のおまけゲームで百物語があるものの 数行で終わるようなものもいくつかあったり、茶化した子供だましな話が多め。 あくまでオマケで期待しないようにするよう。 -- (名無しさん) 2021-04-04 05 25 32
https://w.atwiki.jp/tame_slg/pages/19.html
ふぇら・ふぇちっ! DATA パラメータ内容 プレイ内容 DATA ブランド Parthenon 発売年月日 06/15/2007 体験版 なし 修正ファイル なし ディスクレス 可能 攻略可能ヒロイン 1人 END数 2つ(ハッピーとノーマルのみ) 回想モード CG Hシーン CG数 16枚(差分含まず) Hシーン数 34個 音楽 BGM5曲? 音声 女性のみフルボイス(榊木春乃) 音量調整 ボリューム調整対応 スキップ 未既読対応(ctrlで強制スキップではない) バックログ バッグログ中の音声再生対応 右クリック ウインドウ消去 ホイール ログ対応(バッグログウインドウ表示タイプ) セーブ数 40個 クイックセーブ なし オートセーブ なし 攻略済みデータ なし(互換性持たせるために弄る必要がある可能性) 攻略ページ なし(OHPにヒントページあり) 2ch感想置き場 なし 備考 バッググラウンドで動作。フェラゲー パラメータ内容 パラメータ名 効果 HP 体力。行動制限 らぶ 愛情。行動制限 えっち 淫乱度。行動制限 状態 普通 愛情 欲情 献身の四段階。らぶとえっちの数値によって変化。多分これの高さによって、Hシーンが変化する模様 プレイ内容 奉仕系 フェラ パイズリ 69 本番系 正常位 後背位 騎乗位